出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…大化改新によって私地私民を廃止し,公地公民の政策が打ち出され,約半世紀後の大宝律令の施行によって公地公民制が確立したというのが通説である。しかし,すでに中田薫が指摘しているように,律令においては,口分田(くぶんでん)は私田とされていた。口分田を公民に班給する班田収授制は,公地公民制の中心的な施策と考えられてきたが,その口分田が律令においては公田でなく私田とされていたのである。…
…
[中国]
私田の対立概念で公有の田土をいう。周の井田制では井字に区切られた中央の一画を,まわりの8区画を保有耕営する8戸が共同で耕作し,その収穫を領主に提供したと伝えられる。…
…しかし多くの私財は公にも認められ公然と行われていた。たとえば飛驒白川村のかつての大家族では,シンガイと呼ばれる公的な労働に従事しない日が決まっていて,家族員はその日各自のシンガイ田(私田)を耕した。このシンガイ田の収穫はまったく私的に用いることができたという。…
…口分田以外の田種としては,畿内4ヵ国に合計100町置かれた天皇供御料田としての官田(屯田(みた)),五位以上の有位者に位階に応じて与えられた位田(親王・内親王にも品位に応じて与えられる),国家に功労あるものに与えられる功田(こうでん),大納言以上に与えられる職分田(職田),大宰府および諸国司の史生以上に与えられる在外諸司職分田(公廨田(くがいでん)),郡司の主帳以上に与えられる郡司職分田(職田),および賜田,神田,寺田などがあった。当時は諸種の田地に対し公田・私田の区別がなされていたが,私田とは私人によって用益される有主田(口分田,位田,功田,各種職分田,賜田など),公田とは公的な機関によって用益される無主田(官田,神田,寺田など)のことで,ほぼ田租の輸不に対応していた。公田のうち最大のものは各種の田地を割き取った残りの乗田で,これは1年を限って農民に賃租(ちんそ)され,その地子(じし)が太政官の雑用に充てられた。…
※「私田」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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