突っ張る(読み)ツッパル

デジタル大辞泉 「突っ張る」の意味・読み・例文・類語

つっ‐ぱ・る【突っ張る】

[動ラ五(四)]

㋐ゆるみがなく強くはる。かたくぴんとしている。からだのすじが強くはってかたくなる。「のりがききすぎて浴衣が―・る」「足の筋肉が―・る」
㋑自分の意見を曲げずに強く言い張る。言い分をどこまでも押し通そうとして抵抗する。「自説を通そうとあくまで―・る」
㋒程度が並はずれている。「欲の皮が―・っている」
虚勢をはる。また、不良がかった態度をとる。「あの子はただ―・っているだけだ」「―・っている中学生

㋐倒れたりしないように棒などを押し当てる。つっかいをする。「塀を棒で―・って補強する」
㋑腕・脚などに力を入れて伸ばし強く押す。「両脚を―・って背中で車を押す」
相撲で、平手で相手を交互に突く。「両力士は立ち合いから激しく―・って出た」
[可能]つっぱれる
[類語](1㋑)頑張る押し切る通す押し通す明言言い切る言い放つ言い張る言い通す言い続ける断言確言言明喝破道破公言宣言立言直言

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「突っ張る」の意味・読み・例文・類語

つっ‐ぱ・る【突張】

  1. [ 1 ] 〘 自動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 強く張る。伸張する。また、からだなどがかたくなってそりかえる。
      1. [初出の実例]「飯を食ふと腹の皮が突張(ツッパ)代りに目の皮がたるんで来るから」(出典落語・妙な艷種(1898)〈四代目柳亭左楽〉)
    2. 強硬な態度で行動する。
      1. [初出の実例]「忠臣顔に座を去らず、宮殿につっぱるも合点々々」(出典:浄瑠璃・道成寺現在蛇鱗(1742)一)
    3. 青少年などが虚勢をはって、社会に反抗したり不良じみた態度をとったりする。
      1. [初出の実例]「女は気負い、いま流行りのことばでいえば『突っぱって』いたのかも知れないという気もする」(出典:父の詫び状(1978)〈向田邦子〉お軽勘平)
    4. そうしたいという気持がひじょうに強く心にみなぎる。
      1. (イ) ( 「意地がつっぱる」の形で ) 自分の意見を強く押し通そうとする気持がみなぎる。
        1. [初出の実例]「此子の様な、いぢのつっぱった子はねへよ」(出典:滑稽本・浮世風呂(1809‐13)二)
      2. (ロ) ( 「胸がつっぱる」の形で ) 苦しみ、悲しみなどを強く感じる。
        1. [初出の実例]「わりさまたちのむねのわるなったより、わしのむねがつっぱったわい」(出典:滑稽本・東海道中膝栗毛(1802‐09)八)
      3. (ハ) ( 「欲がつっぱる」の形で ) ひじょうに強い欲がみなぎる。
        1. [初出の実例]「しかし通さんといふ人もふだん欲がつっ張(パ)ッてゐるもんだから」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉五)
      4. (ニ) ( 「業腹がつっぱる」の形で ) ひじょうに腹が立つ。
        1. [初出の実例]「余(あンま)り強腹(がうはら)がつっぱるから」(出典:西洋道中膝栗毛(1870‐76)〈仮名垣魯文〉初)
    5. 見張りや客引きなどのために外に立つ。
      1. [初出の実例]「あるじの女房が門口につっはって鼻へ声を入れ顔でまねいて」(出典:洒落本・浪花色八卦(1757)菱卦)
  2. [ 2 ] 〘 他動詞 ラ行五(四) 〙
    1. 棒状のものを押しあてて強く支える。また、腕・脚などを伸ばしあてて強く押す。
      1. [初出の実例]「杖をつっはる役だからは」(出典:雑兵物語(1683頃)上)
    2. 相場で、強引に売りまたは買いを続ける。〔株式商品市場用語辞典〕
    3. 相撲で、両腕を同時または交互に伸ばして、平手で相手の胸や肩を突く。
      1. [初出の実例]「太刀の突張(ツッパ)らうとする腕を押へ、右筈で何の苦もなく押切った常陸の」(出典:相撲講話(1919)〈日本青年教育会〉常陸、梅の爛熟時代)
      2. 「双方激しく突(ツ)ッぱって居ります」(出典:漫才読本(1936)〈横山エンタツモグリの大将)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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