(読み)ヒグマ

デジタル大辞泉 「羆」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぐま【×羆】

クマ科の哺乳類ヨーロッパからアジア北部、北アメリカにかけて分布。多くの亜種があり、ふつう体長約2メートル、体重約200キロ。体色も灰褐色赤褐色黒褐色と変化が多く、地方によりアカグマ・ハイイログマなどとよばれる。北海道にすむ亜種エゾヒグマはツキノワグマより大きく、性質も荒い。樹洞などで冬ごもりする。肉食を主とする雑食性。 冬》
[類語]白熊北極熊黒熊月の輪熊灰色熊洗い熊

ひ【×羆】

ひぐま」に同じ。
「今日の獲物ゆうに非ず―に非ず」〈太平記・三〇〉

し‐くま【×羆】

《「しぐま」とも》「ひぐま」に同じ。〈和名抄

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精選版 日本国語大辞典 「羆」の意味・読み・例文・類語

ひ‐ぐま【羆】

  1. 〘 名詞 〙 クマ科の哺乳類。体長二~二・八メートル。ツキノワグマよりはるかに大形。他のクマに比べて肩が高く、鼻づらが長い。体毛は長く、灰褐色・赤褐色・黒色などで、のどから胸に白輪のあるものもある。ユーラシア、北アメリカ両大陸の中北部に分布し、日本には北海道に生息。河川近くの森林にすみ、植物の葉や根、木の実・蜂蜜・川魚などを食べる。人畜を襲うことがある。冬は穴の中で冬眠。北海道にすむ亜種エゾヒグマはツキノワグマより大きく、性質も荒い。毛皮敷物に、胆嚢(たんのう)薬用にされる。しくま。ひ。《 季語・冬 》
    1. [初出の実例]「就中羆(ヒグマ)などは殊に大にして、よく牛馬を掴裂(つかみさき)て喰ふ」(出典:随筆・西遊記続編(1798)二)

羆の語誌

「二十巻本和名抄‐一八」に「羆 爾雅集注云羆〈音碑 和名之久万〉」とあるように、古くはシクマ(シグマ)と呼ばれていた。ヒグマの語形は近代以降多く見られるようになる。一般化したのは大正期か。


し‐くま【羆】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「しぐま」とも ) =ひぐま(羆)
    1. [初出の実例]「生熊(くま)二つ、羆(シクマ)の皮七十枚(ひら)献る」(出典:日本書紀(720)斉明四年一一月(北野本訓))
    2. 「羆 彼宜反 平 畜也 志久万」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))

ひ【羆】

  1. 〘 名詞 〙ひぐま(羆)」のこと。
    1. [初出の実例]「今日の獲物は、熊に非ず、羆(ヒ)に非ず」(出典:太平記(14C後)三〇)

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普及版 字通 「羆」の読み・字形・画数・意味


19画

[字音]
[字訓] ひぐま

[説文解字]

[字形] 形声
〔説文〕十上に「熊の如くにしてなり」とあり、ひぐまをいう。字を罷(ひ)の省声とし、また古文字形を録し、能の下に皮(ひ)声を加える。罷の省声とするのは、罷と熊との合文であるから、罷の能を略したと解するのであろう。罷は能(熊)が网(網)にかかり、擺脱(はいだつ)しようとして罷(つか)れるさまの字であるから、罷は羆の省文ともみられる字である。のち用義の分化したものであろう。

[訓義]
1. ひぐま、あかぐま、しぐま。
2. 豪勇のもの。

[古辞書の訓]
名義抄〕羆 シグマ 〔字鏡集〕羆 シロシ・シクモ・クマ・シクマ・ヲクモ・ミチ

[熟語]
羆臥・羆貅・羆虎
[下接語]
虎羆・孤羆・黄羆・号羆・象羆・雄羆・熊羆

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

動植物名よみかた辞典 普及版 「羆」の解説

羆 (ヒグマ)

動物。クマの一種

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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