出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
奈良県桜井市にある真言(しんごん)宗の寺。霊園山(りょうおんざん)遍照院(へんしょういん)と号する。藤原鎌足(かまたり)の長子定慧(じょうえ)が712年(和銅5)建立したが、1173年(承安3)兵火にあって本尊薬師如来(やくしにょらい)とともに焼亡。寺伝では、建久(けんきゅう)年間(1190~99)大神(おおみわ)神社神護寺である平等寺の慶円(こうえん)が阿弥陀(あみだ)三尊を本尊として再興したという。江戸初期より三輪(みわ)山(大神神社)長老の隠棲(いんせい)寺となる。元禄(げんろく)年間(1688~1704)文春諦玄(たいげん)が自刻の丈六子安延命地蔵(こやすえんめいじぞう)石像を本尊として安置するに及び、子授け安産の霊験(れいげん)をもって有名となった。また、乾漆十一面観音(かんのん)立像(国宝、奈良時代)は端正な尊像として名高い。この像は元は大神神社神宮寺(大御輪(おおみわ)寺)に安置されていたもので、明治維新の神仏分離の際、この寺に遷座したもの。ほかに室町時代の春日曼荼羅(かすがまんだら)ほか多くの仏像・仏画を蔵する。
[里道徳雄]
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奈良県桜井市下(しも)にある真言宗の寺。霊園山遍照院と号す。寺伝によれば,藤原鎌足(かまたり)の子定慧(じょうえ)の結んだ庵に始まる。江戸中期に文春諦玄が石造延命地蔵を本尊とし,現寺号に改めたという。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
…桜井は古代の磐余(いわれ)の地で,崇峻・舒明両天皇陵,歴代の天皇の宮跡,古代の市として有名な金屋の海柘榴市(つばいち)など,古代の史跡が多い。また端整な三輪山(467m)を神体とする大神(おおみわ)神社,中世以来初瀬(長谷)詣で有名な長谷寺,〈知恵の文殊さん〉として親しまれている安倍寺,藤原鎌足を祭神とする談山神社,国宝の十一面観音立像で有名な聖林(しようりん)寺などの由緒ある寺社も多い。【橋本 征治】。…
※「聖林寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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