聖林寺(読み)ショウリンジ

デジタル大辞泉 「聖林寺」の意味・読み・例文・類語

しょうりん‐じ〔シヤウリン‐〕【聖林寺】

奈良県桜井市にある真言宗の寺。山号霊園山。和銅5年(712)藤原鎌足の子定慧じょうえ創建、建久年間(1190~1199)再興と伝える。元禄年間(1688~1704)に文春が子安延命地蔵菩薩ぼさつ安置、その霊験により有名になる。十一面観音像は国宝

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精選版 日本国語大辞典 「聖林寺」の意味・読み・例文・類語

しょうりん‐じシャウリン‥【聖林寺】

  1. 奈良県桜井市下(しも)にある真言系単立寺院。山号は霊園(りょうおん)山。和銅五年(七一二定恵(じょうえ)の創建と伝える。建久年間(一一九〇‐九九慶円が再興。本尊は子安延命地蔵菩薩。国宝十一面観音像を蔵する。子安延命地蔵。

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日本歴史地名大系 「聖林寺」の解説

聖林寺
しようりんじ

[現在地名]桜井市大字下小字霊恩

しも集落南にあり、霊恩山遍照へんしよう院と号する真言系の単立寺院で、もと同宗室生寺派。本尊は石造延命地蔵。藤原鎌足の子定慧が当地に庵を結んだと伝え、多武峯とうのみね(現桜井市)の境外仏堂となっていた。鎌倉時代中興開山性亮玄心が三輪みわ(現同上)にあった平等びようどう寺遍照院を当寺地に移した。寺名は江戸時代中期に文春諦玄が本尊地蔵菩薩を安置した時に始まるという。以前は古義真言と天台の両宗兼帯であった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「聖林寺」の意味・わかりやすい解説

聖林寺
しょうりんじ

奈良県桜井市にある真言(しんごん)宗の寺。霊園山(りょうおんざん)遍照院(へんしょういん)と号する。藤原鎌足(かまたり)の長子定慧(じょうえ)が712年(和銅5)建立したが、1173年(承安3)兵火にあって本尊薬師如来(やくしにょらい)とともに焼亡。寺伝では、建久(けんきゅう)年間(1190~99)大神(おおみわ)神社神護寺である平等寺の慶円(こうえん)が阿弥陀(あみだ)三尊を本尊として再興したという。江戸初期より三輪(みわ)山(大神神社長老隠棲(いんせい)寺となる。元禄(げんろく)年間(1688~1704)文春諦玄(たいげん)が自刻の丈六子安延命地蔵(こやすえんめいじぞう)石像を本尊として安置するに及び、子授け安産の霊験(れいげん)をもって有名となった。また、乾漆十一面観音(かんのん)立像(国宝、奈良時代)は端正な尊像として名高い。この像は元は大神神社神宮寺(大御輪(おおみわ)寺)に安置されていたもので、明治維新の神仏分離の際、この寺に遷座したもの。ほかに室町時代の春日曼荼羅(かすがまんだら)ほか多くの仏像・仏画を蔵する。

[里道徳雄]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「聖林寺」の意味・わかりやすい解説

聖林寺
しょうりんじ

奈良県桜井市にある真言宗系単立寺院。本尊は延命地蔵。開山については明らかでないが,藤原鎌足の子定恵が一時庵を結んだと伝えられている。鎌倉時代に中興開山の性亮玄心が三輪にあった平等院遍照院をこの地に移して霊園山遍照院と称したといわれる。奈良時代の乾漆『十一面観音立像』 (国宝) は,大神神社の神宮寺である大御輪寺に所蔵されていたが,明治の廃仏毀釈の際,聖林寺に移された。

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百科事典マイペディア 「聖林寺」の意味・わかりやすい解説

聖林寺【しょうりんじ】

奈良県桜井市にある真言宗の寺。本尊は石造延命地蔵。12世紀末慶円が開創という。国宝の十一面観音立像は,もと大神神社の神宮寺に安置されていたものを明治時代に移したもので,天平末期の乾漆像の傑作。
→関連項目十一面観音

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「聖林寺」の解説

聖林寺
しょうりんじ

奈良県桜井市下(しも)にある真言宗の寺。霊園山遍照院と号す。寺伝によれば,藤原鎌足(かまたり)の子定慧(じょうえ)の結んだ庵に始まる。江戸中期に文春諦玄が石造延命地蔵を本尊とし,現寺号に改めたという。

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世界大百科事典(旧版)内の聖林寺の言及

【桜井[市]】より

…桜井は古代の磐余(いわれ)の地で,崇峻・舒明両天皇陵,歴代の天皇の宮跡,古代の市として有名な金屋の海柘榴市(つばいち)など,古代の史跡が多い。また端整な三輪山(467m)を神体とする大神(おおみわ)神社,中世以来初瀬(長谷)詣で有名な長谷寺,〈知恵の文殊さん〉として親しまれている安倍寺,藤原鎌足を祭神とする談山神社,国宝の十一面観音立像で有名な聖林(しようりん)寺などの由緒ある寺社も多い。【橋本 征治】。…

※「聖林寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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