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職人尽絵 しょくにんづくしえ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

職人尽絵
しょくにんづくしえ

多種多様な職人風俗を画題にした絵。職人の作業中の姿のみを描いたものと,絵にふさわしい歌を添えて「歌合」に使用したものとがある。「歌合」系統の絵は平安時代に始り,鎌倉,室町時代にかけて多く制作され,なかでも建保2 (1214) 年の『東北院職人歌合絵巻』は職人尽絵の原型。一方,職人を描いた風俗画は室町時代の終り頃から制作され,特に安土桃山時代以降,職人階級の勃興とともに,土佐派狩野派が盛んに描いて流行した。なかでも狩野吉信筆の『職人尽図屏風』 (川越喜多院) が有名で,これには仏師師,扇師,刀師など 24職人図が活写されている。

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百科事典マイペディアの解説

職人尽絵【しょくにんづくしえ】

近世初期風俗画の一種で,各種の職人の生業のさまを描いた図。12〜24種の職人の図を屏風(びょうぶ)や帖(ちょう)にはったものが多い。中世の職人歌合絵巻の系譜をひくものだが,近世の市民層の台頭を反映し,職人の姿を環境の中に生き生きと描写している所に特色がある。
→関連項目職人歌合

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世界大百科事典 第2版の解説

しょくにんづくしえ【職人尽絵】

各種の職人の生態を一括して描いた絵。職人を描いた絵は,平安時代の扇面写経や絵巻などに散見されるが,職人の絵がまとまって描かれるのは鎌倉時代の《東北院職人歌合》からである。これは,職人を左右おのおの5番に分けて歌を番(つが)わせ,判者によって勝を決する歌合(うたあわせ)の形式をとり,和歌の間に職人を描く。三角形の安定した職人の構図には歌仙絵の影響,個性的な容貌には似絵(にせえ)の手法がみられる。詞書に建保2年(1214)の歌合とあるが,この時期は《新古今集》撰集後で歌合,物合(ものあわせ)歌合も流行し,一方では農業生産技術の向上を背景とする職人の台頭期にも符合するため,このような歌仙絵の形式をかりた職人歌合が成立しえたのである。

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