職封(読み)シキフ

デジタル大辞泉 「職封」の意味・読み・例文・類語

しき‐ふ【封】

律令制で、高級官人に対してその官職に応じて支給された封戸ふこ

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精選版 日本国語大辞典 「職封」の意味・読み・例文・類語

しき‐ふ【職封】

  1. 〘 名詞 〙 令制で、食封(じきふ)一つ。官職に対して与えられる封戸(ふご)。封戸に指定された戸の租の半分庸調のすべてを収取し、また仕丁も徴発できた。はじめ太政大臣(三千戸)、左右大臣(二千戸)、大納言(八百戸)の規定であったが、のち中納言(四百戸)、参議(八十戸)も職封を与えられるようになった。→食封(じきふ)
    1. [初出の実例]「自中納言内臣、賜職封一千戸」(出典:続日本紀‐宝亀八年(777)九月丙寅)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「職封」の意味・わかりやすい解説

職封
しきふ

律令制(りつりょうせい)下の封禄(ほうろく)の一つ。官職に応じて支給された食封(じきふ)。大宝(たいほう)令・養老(ようろう)令では太政(だいじょう)大臣3000戸、左・右大臣2000戸、大納言(だいなごん)800戸とする。しかるべき理由があって解官した場合、高齢による辞職の場合には半減され、本人が死亡した場合は返還した。令制以後は、705年(慶雲2)中納言の設置により、その職封を200戸と定め、771年(宝亀2)には藤原良継(よしつぐ)が内臣に任じられ、その職封1000戸を与えられている。また一時期大納言以上の職封が削減されたが、806年(大同1)に旧に復している。『延喜式(えんぎしき)』では、中納言の職封は400戸となっており、ほかに参議の職封80戸が規定されている。

[吉岡眞之]

『高橋崇著『律令官人給与制の研究』(1970・吉川弘文館)』『時野谷滋著『律令封禄制度史の研究』(1977・吉川弘文館)』

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「職封」の解説

職封
しきふ

律令制下の給与の一つで,参議以上の官職の者に支給された食封(じきふ)。禄令では,太政大臣3000戸,左右大臣各2000戸,大納言800戸とし,病気・致仕のため離任した場合,現職時の半額を支給するとする。このほか705年(慶雲2)中納言に200戸(「延喜式」では400戸),参議に80戸(「延喜式」による。起源は不明。一時参議が廃された際はかわりの観察使に200戸),771年(宝亀2)内臣(忠臣,のちの内大臣)に1000戸が支給された。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「職封」の意味・わかりやすい解説

職封
しきふ

令制における食封 (じきふ) の一つ。官職に対して支給された封戸。令では,太政大臣 3000戸,左右大臣 2000戸,大納言 800戸。慶雲2 (705) 年には中納言 200戸と規定されたが,『延喜式』では,中納言 400戸,参議 80戸となった。

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旺文社日本史事典 三訂版 「職封」の解説

職封
しきふ

律令制下,大納言以上の官職に対して与えられた封禄の一つ
大化以来の食封 (じきふ) が大宝令では,位封・職封・功封に区分された。太政大臣に3000戸,左右大臣2000戸,大納言800戸の職封が与えられ,封戸 (ふこ) の租の半分(739年より全部)・庸・調の全部が支給された。のち中納言(200戸〈のち400戸〉)・参議(80戸)にも与えられた。

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百科事典マイペディア 「職封」の意味・わかりやすい解説

職封【しきふ】

封戸

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世界大百科事典(旧版)内の職封の言及

【封戸】より

…大宝令での封戸の規定は養老令のものとほぼ同じだとされているので,以下養老令文によってその大要をのべる。 封戸には皇親の品位によって支給されるもの(品封(ほんぷ)),役人の位階によって支給されるもの(位封(いふ)),職掌によるもの(職封(しきふ)),特別に天皇の命令で支給するもの(功封や別勅の賜封,増封など)があった。また寺への封戸(寺封)の支給は天皇の勅があった場合のみみとめられ,5年間に限って支給された。…

※「職封」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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