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観察使 カンサツシ

世界大百科事典 第2版の解説

かんさつし【観察使】

平安初期の令外官(りようげのかん)の一つ。806年(大同1)に東山道を除く6道に各1人を置き,その下にそれぞれ判官1人,主典1人を配するとともに,観察使の印が付与された。当初観察使は参議が兼任したが,翌年,参議の号を廃止してただ観察使のみを置くこととし,またそれまで置かれていなかった畿内・東山道にも設置した。観察使設置の目的は,かつて786年(延暦5)に下された国司・郡司らの監察に関する16ヵ条の条例が有名無実となっていたため,これを遵行することにあった。

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大辞林 第三版の解説

かんさつし【観察使】

平安初期、畿内きない・七道に派遣され、諸国の治績や、国司・郡司の政治のとりかたなどを観察した官職。806年より810年まで置かれた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

観察使
かんさつし

令外官(りょうげのかん)の一つ。諸国の治績を観察し、地方官の執務状況を報告した。平城(へいぜい)天皇の806年(大同1)六道にこの使を置き、使印を頒給(はんきゅう)した。その職員は観察使1人、判官(じょう)1人、主典(さかん)1人の三等官制をとり、長官(かみ)の観察使は参議が兼任した。翌807年参議の号を廃して観察使と称し、畿内(きない)および七道に置き、食封(じきふ)200戸を支給した。このときの東海道使は藤原葛野麻呂(かどのまろ)、西海道使藤原縄主(ただぬし)、山陰道使菅野真道(すがののまみち)、山陽道使藤原園人(そのひと)、畿内使藤原緒嗣(おつぐ)、北陸道使秋篠安人(あきしののやすひと)、南海道使吉備泉(きびのいずみ)、東山道使安倍兄雄(あべのしげお)である。その後、嵯峨(さが)天皇の810年(弘仁1)に至り、もとのごとく参議の号を復し、観察使を廃止した。その間わずかに4年であった。[渡辺直彦]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の観察使の言及

【参議】より

…このとき参議に食封(じきふ)80戸を与えた。しかし806年(大同1)観察使を置き,地方行政の監察を行わせ,これに参議を充て,翌年参議の号をやめて観察使のみとしたため,朝政参議の機能は消えたが,810年(弘仁1)参議制を復活させた。このとき畿内と七道の観察使を参議としたため,参議は8人となり,のちこれが参議の定数のごとく見られるが,定数が定められたわけではない。…

【守令】より

…員(ウオン)ともいう。道の長官である観察使の監督下で,(府,大都護府,牧,都護府,郡,県等,道内の行政区画の総称)内の統治にあたった。その任務は守令七事と呼ばれ,農業を盛んにすること,戸口数を増やすこと,学校を興すこと,軍政を修めること,賦役を均等に課すこと,裁判を迅速に行うこと,奸悪な人物をなくすことであり,この七事を基準にして観察使が各守令の勤務評定を行い,善・殿・悪・最の4等級の評価を中央に報告する仕組みであった。…

【道】より

…李朝初期に八道制(北から咸鏡,平安,江原,黄海,京畿,忠清,慶尚,全羅の各道)がしかれ,中部,南部と辺境との区別がなくなり,区分も現在の姿に近づいた。李朝時代の道には中央から長官として観察使(監司,巡察使,従二品)が派遣され,副官である都事の補佐をうけ,軍司令官の兵使,水使と協力して統治した。1894年の甲午改革で一時,道制が廃止されて二十三府制が採用されたが,翌年,十三道制(咸鏡,平安,忠清,慶尚,全羅の各道を南北に区分)となって復活した。…

【藩鎮】より

節度使は属地の羈縻(きび)支配の破綻や府兵制の崩壊により,長城線沿いに新設された傭兵からなる国境防衛軍団の司令官であるが,安史の乱勃発を機に国内要衝にも置かれるようになった。一方,地方行政の監察強化のために,やはり使職の観察使が新設されたが,しだいに州の上級地方長官と化した。節度使はこの観察使を兼ねて,地方の兵・民・財三権を掌握し,河北三鎮(盧竜・天雄・成徳)のごとき,数代にわたる節度使の世襲や,税賦の中央送付を拒否するなど,唐中央政府から半ば独立した軍閥となるものが多くなった。…

※「観察使」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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