肯んずる(読み)ガエンズル

デジタル大辞泉 「肯んずる」の意味・読み・例文・類語

がえん・ずる〔がへんずる〕【肯んずる】

[動サ変][文]がへん・ず[サ変]承諾する。聞き入れる。引き受ける。がえんじる。「頑として―・じない」
[補説]「かえ(肯)にす」の音変化、本来は承諾しないの意。「に」に含まれている否定の意が忘れられて、肯定の意に意識されるようになったもの。「がえんじない」「がえんぜられない」など、打消しの語とともに用いられることが多い。
[類語]承知了承了解承諾承認承引承服納得同意受諾応諾許諾オーケー受け入れる聞き入れるうべなううけがう諾する応ずる引き受ける首を縦に振るうけたまわ

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精選版 日本国語大辞典 「肯んずる」の意味・読み・例文・類語

がえん‐・ずるがへん‥【肯】

  1. 〘 他動詞 サ行変 〙
    [ 文語形 ]がへん・ず 〘 他動詞 サ行変 〙 ( 「かえにす(不肯)」の変化した語 )
  2. かえにす(不肯)
    1. [初出の実例]「肯 ガヘンズ 不肯」(出典:色葉字類抄(1177‐81))
  3. ( 本来の否定の意味が失われて肯定の意味に転じた。ふつうは打消の助動詞「ず」を伴い、「がえんぜず」の形で承諾しないの意に用いる ) 承諾する。ひきうける。うけがう。うべなう。
    1. [初出の実例]「勅の旨を聞かむと佇(のぞ)めども尚宣(の)り不肯(カヘンセす)」(出典日本書紀(720)継体二三年四月(寛文版訓))
    2. 「肯られぬ事どもありて」(出典:随筆・胆大小心録(1808)五)

肯んずるの語誌

( 1 )「かへにす」「がへんぜず」ともに「不肯」を訓読したもの。「かへにす」は上代では清音によまれていたが、後に「に」が音便で「ん」となり、また動詞連用形に直ちに接続する用法において「か」が連濁をおこして「がへんず」となったとされる。この音韻変化の過程で、「かへず」の形も現われた。
( 2 )もともと「かへにす」自体に否定の意味が含まれていたが、「甘んず」「軽んず」のような語形にひかれて、「がへんず」も肯定の意味に取り違えられるようになり、のように「がへんぜず」と、さらに打消の助動詞「ず」が付け加えられることになったのであろう。

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