応諾(読み)オウダク(その他表記)compliance

翻訳|compliance

デジタル大辞泉 「応諾」の意味・読み・例文・類語

おう‐だく【応諾】

[名](スル)人の頼みや申し込みをそのまま引き受けること。承諾。「二つ返事応諾する」
[類語]承知了承了解承諾承認承引承服納得同意受諾許諾オーケー受け入れる聞き入れるうべなううけがうがえんずる諾する応ずる引き受ける首を縦に振るうけたまわ

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精選版 日本国語大辞典 「応諾」の意味・読み・例文・類語

おう‐だく【応諾】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 人の頼み、申し出を聞き入れること。承知すること。承諾。
    1. [初出の実例]「仰山つひにいはく、信淮子これ女流なりといへども、大丈夫の志気あり、まさに廨院主とするにたへたり。衆みな応諾す」(出典:正法眼蔵(1231‐53)礼拝得髄)
  3. 呼ばれて返事すること。応答
    1. [初出の実例]「名を呼べば即ち応諾す」(出典:塩山仮名法語(1387頃)五)

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最新 心理学事典 「応諾」の解説

おうだく
応諾
compliance

応諾とは,他者影響送り手)からの意図的な働きかけに対して,送り手の望むように自分(受け手)の態度行動などを変えること。承諾ともいう。通常,受け手は送り手からの働きかけに応諾するかどうかを判断する際,送り手との人間関係(知り合い期間,社会的影響力の差,今後の対人関係の可能性など),あるいは,働きかけの理由,応諾コストなどを勘案する。したがって,送り手が見知らぬ人になんらかの行動(商品購入,労力や情報の提供など)を取るよう働きかける場合には,受け手の応諾を引き出しやすい方法を用いる必要が出てくる。

 そうした方法として応諾獲得方略compliance-gaining strategyがある。通常,2段階ぐらいの働きかけを通して,受け手の応諾を引き出そうとする方法であるので連続的影響手段sequential compliance-gaining strategyとよばれる。代表的なものにはフット・イン・ザ・ドア法,ドア・イン・ザ・フェイス法,ロー・ボール法,ザッツ・ノット・オール法がある。

 フット・イン・ザ・ドア法foot-in-the-door techniqueとは,受け手にとって応諾コストの小さい働きかけを行ない,それに対する受け手の応諾を引き出した後,もともと受け手に応諾してほしいと考えていた応諾コストの大きい働きかけを行なう方法である(Freedman,J.L.,& Fraser,S.C.,1966)。つまり,最初から応諾コストの大きい働きかけを行なうのではなく,意図的に応諾コストの小さい働きかけを設定する方法である。この方法が効果的な理由としては,小さい依頼に受け手をコミットさせる(かかわりをもたせる)こと,小さい依頼に応諾したことに対して受け手が「親切な人である」とラベル付けすること,受け手はそのコミットメントやラベルに影響されるような形で大きい依頼に応諾しやすくなることが挙げられている。

 フット・イン・ザ・ドア法と逆のプロセスを採用しているのが,ドア・イン・ザ・フェイス法door-in-the-face techniqueである。すなわち,最初に受け手が拒否すると考えられる応諾コストの大きい依頼をして,受け手が拒否した後,送り手が受け手に応諾してほしいと考えていた応諾コストの相対的に小さい依頼を行なう方法である(Cialdini,R.B. et al.,1975)。この方法が効果的な背景としては,譲歩の返報性,罪悪感の解消が指摘されている。譲歩の返報性とは,受け手から見ると,送り手が依頼内容について譲歩したように見えるので,当初,拒否した受け手も,返報性の規範に基づいて自分も譲歩した方がよいと考え,応諾するようになるということである。他方,罪悪感の解消とは,たとえ応諾コストの大きい依頼であっても,人からの頼みを拒否することに受け手は罪悪感を覚え,その後に呈示された小さい依頼がその罪悪感を解消するための良い機会になり,応諾するようになるということである(O'Keefe,D.J.,2002)。

 フット・イン・ザ・ドア法と同じように,受け手のコミットメントを利用しているのが,ロー・ボール法low-ball techniqueである。受け手にとって望ましい条件を提示して,受け手の応諾を引き出した後,なんらかの理由をつけて,その望ましい条件の一部を取り除いてしまう方法である(Cialdini,R.B.,Cacioppo,J.T.,Basset,R.,& Miller,J.A.,1978)。そのため,応諾先取り法と表現されることもある。受け手は,初めに応諾することを表明しているので,そのコミットメントに影響される形で,状況が受け手にとって多少悪くなっても,先の判断を変えづらくなってしまうのである。

 ザッツ・ノット・オール法That's-not-all techniqueとは,とくに商品販売において,購入するかどうかを決めかねている受け手に対して,おまけを付けたり,価格を安くしたりして,購入を促す方法である(Burger,J.M.,1986)。受け手は,当初の状態に比べて割安感を感じ,さらに,譲歩の返報性の影響もあり,応諾しやすくなると考えられる。 →説得
〔今井 芳昭〕

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普及版 字通 「応諾」の読み・字形・画数・意味

【応諾】おうだく

承諾する。

字通「応」の項目を見る

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