諾なう(読み)ウベナウ

デジタル大辞泉 「諾なう」の意味・読み・例文・類語

うべ‐な・う〔‐なふ〕【諾なう/宜なう】

[動ワ五(ハ四)]副詞うべ」+接尾語なう」から。平安時代以降は「むべなう」とも表記
願いや要求を引き受ける。同意する。うけがう。
「その甥の申し出を女に伝えることを―・わないわけにはいかなかった」〈堀辰雄曠野
服従する。
神八井耳命はぢて―・ひぬ」〈綏靖紀〉
謝罪する。わびる。
「是によりて百済国、辰斯王を殺して―・ひにき」〈応神紀〉
[類語]承知了承了解承諾承認承引承服納得同意受諾応諾許諾オーケー受け入れる聞き入れるうけがうがえんずる諾する応ずる引き受ける首を縦に振るうけたまわ認める勿論元より当然もっとも無論まさに当たり前ご無理ごもっと言うまでもない言わずもがな言をたない論をたないもありなん無理もない無理からぬ自然至当自明歴然歴歴一目瞭然瞭然灼然しゃくぜん明らか明白明明白白定か明快はっきり明瞭画然顕然まさしく必至疑いなく然るべきすべからく言うに及ばず言えば更なり言うもおろか論無し推して知るべし隠れもない紛れもない理の当然必然妥当自明の理それもそのはずもっともっとも至極もっとも千万うべなるかなむべなるかな合点唯唯諾諾首肯賛成賛同果たして果たせるかな更にも言わず至極のみならず言わずと知れた違いないくっきり諸手もろてを挙げる

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「諾なう」の意味・読み・例文・類語

うべ‐な・う‥なふ【諾・宜】

  1. ( 平安以降「むべなう」とも表記された )
  2. [ 1 ] 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙 ( 副詞「うべ」に活用語尾「なう」の付いた語 ) 「うべ」と思う。同意する。願い、要求などを聞き入れる。
    1. [初出の実例]「此の経典を聞きて信(ウベナ)はむ心をもちて」(出典:金剛般若経讚述仁和元年点(885))
    2. 「胡人許諾(ウベナヒ)て、言(われ)(〈注〉我也)、師を送りて五烽を過ぎむ」(出典:大慈恩寺三蔵法師伝永久四年点(1116)一)
  3. [ 2 ] 〘 自動詞 ハ行四段活用 〙
    1. 服従する。配下となる。
      1. [初出の実例]「其の不服(ウベナハ)ぬ者(もの)は、唯星の神香香背男(かかせを)のみ」(出典:日本書紀(720)神代下(水戸本訓))
    2. 犯した罪に対して謝罪する。わびる。
      1. [初出の実例]「時に蝦夷(えみし)の首師(ひとこのかみ)足振辺・大羽振辺・遠津闇男辺等叩頭(の)みて来(まうき)頓首(をが)む。受罪(ウベナヒ)て尽(ふつ)くに其の地(ところ)を献(たてまつ)る」(出典:日本書紀(720)景行五六年八月(北野本訓))

うめ‐な・う‥なふ【諾】

  1. 〘 他動詞 ハ行四段活用 〙うべなう(諾)
    1. [初出の実例]「陛下(すめらみこと)国命(おほむよごと)を成して朝(みかど)に入(まゐ)りて謝罪(ウメナヒ)まうさむを待ちたまへ」(出典:日本書紀(720)継体二四年九月(前田本訓))

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