胡琴(読み)コキン

デジタル大辞泉 「胡琴」の意味・読み・例文・類語

こ‐きん【×胡琴】

琵琶びわ古称
中国弦楽器で、胡弓の類の総称形状材質などにより、二胡にこ四胡しこ京胡きょうこ板胡はんこ椰胡やこ椀琴わんきん提琴などがある。日本清楽では二胡・四胡・提琴を用いる。

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精選版 日本国語大辞典 「胡琴」の意味・読み・例文・類語

こ‐きん【胡琴】

  1. 〘 名詞 〙 ( 胡人の弦楽器の意から )
  2. 楽器「びわ(琵琶)」の唐代の異称
    1. [初出の実例]「琵琶 胡琴(コキム)」(出典教訓抄(1233)八)
  3. 胡弓(こきゅう)の中国での称。二胡(にこ)、提琴などがある。〔随筆・金曾木(1810)〕〔蘇軾‐戴道士得四字代作詩〕
  4. 中国の奚琴(けいきん)に似た二弦の擦弦楽器。馬尾の弓でこすって奏する。

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百科事典マイペディア 「胡琴」の意味・わかりやすい解説

胡琴【こきん】

中国のリュート属擦弦楽器(いわゆる胡弓)の総称。中国語ではフーチン。元代(1271年―1368年)以前には,琵琶月琴などのリュート属撥弦楽器をも意味。18世紀以降は主として,京劇などの伴奏に使う京胡(ジンフー)を指す。京胡の棹と共鳴胴は竹製で,共鳴胴の一端ヘビの皮が張ってある。2弦で5度に調弦。その他の胡琴属の楽器には,二胡(アルフー)(2弦。木製江南糸竹の主要楽器),四胡(スーフー)(複弦2コース。華北,東北および内蒙古で使用)などがある。
→関連項目鼓詞ダン・ニー(弾二)

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改訂新版 世界大百科事典 「胡琴」の意味・わかりやすい解説

胡琴 (こきん)
hú qín

中国の2~4弦のリュート属の擦弦楽器(いわゆる胡弓)の総称。同時に京胡その他ある特定のタイプの胡弓を指す場合がある。唐・宋代では,北方および西方各民族から伝わった撥弦楽器(たとえば琵琶,忽雷(こつらい)など)を指した。現在の各種胡琴の直接の祖といわれるのは奚琴けいきん)で,その擦弦楽器としての最も古い記録が《夢渓筆談》に見える。元代には燕楽に用いられた。現在の各種胡琴は,蛇皮あるいは板を張った共鳴胴に棹を差し込み,2~4弦を張り,弦のあいだにはさんだ馬尾の弓の張力を変えることで擦奏する。演奏の際,胴に直接垂らしてある松やにが自動的に弓に供給される。独奏や合奏,戯曲音楽,語り物音楽の伴奏など用途によって種類が多く,胴の形だけでも,円形(二胡,四胡,板胡,粤(えつ)胡など),六角形(二胡,京二胡など),半球形(椰胡),三弦形(墜胡)といろいろあり,音域や音色もさまざまである。朝鮮には奚琴,日本には胡弓がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「胡琴」の意味・わかりやすい解説

胡琴
こきん
hu-qin

中国および中国から日本に伝来した清楽 (しんがく) における弦楽器の名称。中国では,時代や場所によってこの名称の示す楽器に異同がある。 (1) 唐代では,胡人の弦楽器の意で,琵琶をさす。 (2) 元代もしくはそれ以前に,撥弦楽器の「火不思 (ほぶす) 」 (→クーブーズ ) ,あるいは擦弦楽器のラバーブを改造したと思われる蒙古起源の擦弦楽器で,匙形胴2弦のもの。 (3) 元代頃に擦弦楽器化した円筒胴2弦の奚琴を,明,清代に (2) を奚琴と称するようになるとともに,逆に胡琴と称した。 (4) 広義には,中国で行われる擦弦楽器の総称。「二胡」「四胡」「南胡」「提琴」「椀琴」「板胡」「椰胡」などの別があり,京劇に用いられるものは,特に「京胡」といったりもする。多くは竹製または木製の円筒形または八角形,あるいは椀形の半円球の胴で,これに棹を差込み,胴面には蛇皮を張り,2~4弦で,馬尾を束ねた弓で奏する。 (5) 日本に伝わった清楽では二胡をさし,四胡は大胡琴,椀形胴のものは提琴といって区別する。

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普及版 字通 「胡琴」の読み・字形・画数・意味

【胡琴】こきん

蛇皮の琴。

字通「胡」の項目を見る

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世界大百科事典(旧版)内の胡琴の言及

【胡弓】より

…広義には東洋のリュート属擦弦楽器の総称で,中国の胡琴(こきん),朝鮮の奚琴(けいきん)なども含まれる(イラスト)。狭義には日本のものを指し,鼓弓,小弓とも書く。…

※「胡琴」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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