舌先三寸(読み)シタサキサンズン

デジタル大辞泉 「舌先三寸」の意味・読み・例文・類語

したさき‐さんずん【舌先三寸】

口先だけでうまく相手をあしらうこと。また、その言葉舌三寸。「舌先三寸で金をだまし取る」
[補説]文化庁が発表した平成23年度「国語に関する世論調査」では、「本心でない上辺うわべだけの巧みな言葉」を表現するとき、本来の言い方とされる「舌先三寸」を使う人が23.3パーセント、本来の言い方ではない「口先三寸」を使う人が56.7パーセントという逆転した結果が出ている。
[類語]口先舌先弁舌口舌こうぜつ話半分

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精選版 日本国語大辞典 「舌先三寸」の意味・読み・例文・類語

したさき‐さんずん【舌先三寸】

  1. 〘 名詞 〙したさんずん(舌三寸)
    1. [初出の実例]「舌さき三寸で生きていた口舌の徒のあいだに」(出典:鳥獣戯話(1960‐62)〈花田清輝〉二)

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四字熟語を知る辞典 「舌先三寸」の解説

舌先三寸

心がこもらず、口先だけであること。また、そのことば。

[使用例] わなにかけたつもりで、逆に罠にかかり、そのまま病死してしまった、哀れな絵葉書屋のセールスマン。だが、その絵葉書屋が、からっきしの舌先三寸だったとも思えないのだ……[安部公房*砂の女|1962]

[使用例] 「べんですからね」と、金井は明るく笑った。「この詭弁を本当らしくきかせるのがあなたの舌先三寸です。あなたなら、きっと、うまくやれます」[小林信彦*夢の砦|1983]

[使用例] そういう条件交渉はな、おまえみたいな舌先三寸のうそつきのすることや。あの女はわし人徳にほだされて喋ったんや[黒川博行|2009]

[解説] 江戸時代には「舌三寸」と言いました。近代以降に「舌先三寸」の形が現れて、現在の主流になりました。
 百科事典によると、日本人の舌の長さの平均は約七センチだそうです。一方、「舌先三寸」は、一寸が約三・〇三センチとすれば、約九センチ。ずいぶん長い舌のようですが、「三」という数字に大した意味はなく、ここでは「ちょっとした舌の先」というほどの意味です。
 舌の先をちょっと動かすだけで、相手を丸め込んだり、物を売りつけたりする。話術の巧みな人物は、それを苦もなく行います。ただし、その舌先に乗っているのは嘘とべんです。
 「舌先三寸」を「口先三寸」と言う人もいます。誤用とされますが、過去文豪が使っている例を見ると、さほど違和感はありません。
 舌と同様に、口の先端が三寸もないのは確かです。この場合も、単に「ちょっとした口の先」というほどの意味で「口先三寸」と言っているのでしょう。

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