花営三代記(読み)カエイサンダイキ

デジタル大辞泉 「花営三代記」の意味・読み・例文・類語

かえいさんだいき〔クワエイサンダイキ〕【花営三代記】

室町幕府に関する記録。3巻。筆者未詳。将軍足利義満義持義量の3代にわたり、幕府行事法令や武家風俗などを記す。室町記。武家日記

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精選版 日本国語大辞典 「花営三代記」の意味・読み・例文・類語

かえいさんだいきクヮエイサンダイキ【花営三代記】

  1. 室町幕府に関する記録。三巻。現存本は貞治六=正平二二年一二月から康暦三=天授七年正月まで(一三六七‐八一)、および応永二八年正月から同三二年一一月まで(一四二一‐二五)の前後二部より成り、前半は政所奉行人の手になると推定される編纂物、後半御供衆伊勢貞彌の日記書名は、義満、義持、義量の三代の足利幕府将軍家についての記録であることに由来。内容は幕府法令や職員の構成、行事の運営など公的な記事のほかに、将軍家の私的な行動や京都地方の政治的な動きなどの記事が記されている。武家日記。室町記。

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改訂新版 世界大百科事典 「花営三代記」の意味・わかりやすい解説

花営三代記 (かえいさんだいき)

室町幕府に関する記録。《武家日記》《室町記》《室町三代記》ともいう。内容が足利義満・義持・義量3代にわたることから書名は生まれているが,実は2書を合わせて1書にしたものである。前半は1367-81年(正平22・貞治6-弘和1・永徳1)の幕府の政務や時々の政治的事件,法令などを編纂したもの。後半は御供衆伊勢貞弥(後に貞平)の1421-25年(応永28-32)にわたる日記である。いずれも他に類似史料が少ないので貴重である。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「花営三代記」の解説

花営三代記
かえいさんだいき

「武家日記」とも。南北朝後期~室町初期の室町幕府にかかわる記録。足利義満・同義持・同義量(よしかず)3代の記録を意味するが,別の2書を合わせたか。前半部は1367~81年(貞治6・正平22~永徳元・弘和元)。幕府の法令や公式行事・人事異動を中心に,世事も伝える編纂物。記事が簡略なため解釈が難しいが,他に類例がなく,この時期の幕府を研究するうえで基本となる。後半部は1421~25年(応永28~32)。筆者は伊勢貞弥か。将軍などの移徙(わたまし)の記事が中心で,供奉人の交名(きょうみょう)も多く引用され,奉公衆などの研究に欠かせない重要史料。「群書類従」所収。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「花営三代記」の意味・わかりやすい解説

花営三代記
かえいさんだいき

室町幕府に関する記録。3巻。「武家日記」「室町記」「室町三代記」ともいう。書名は花営(花の御所=室町幕府)三代(足利義満(あしかがよしみつ)・義持(よしもち)・義量(よしかず))の記録であることによる。元来別の成立になる二書をあわせて一書としたもの。前半は1367年(正平22・貞治6)~81年(弘和1・永徳1)の幕府法令や評定などの記事を、後半は1421年(応永28)~25年の御供衆(おんともしゅう)伊勢貞弥(いせさだひさ)(のちに備後守(びんごのかみ)貞平)の日記を収める。『群書類従』(雑部)所収。

[桑山浩然]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「花営三代記」の意味・わかりやすい解説

花営三代記
かえいさんだいき

『武家日記』ともいう。室町幕府の記録。3巻。作者未詳。前半は正平 22=貞治6 (1367) ~弘和1=永徳1 (81) 年の間の幕府の政所関係記事で,後半は応永 28 (1421) ~同 32年にわたる,将軍供衆の一人伊勢貞彌 (のち貞平) の日記である。この時期が将軍足利義満,義持,義量の3代にわたっており,将軍の邸宅 (→室町殿 ) が「花の御所」と呼ばれたことからこの記名がある。『群書類従』所収。

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旺文社日本史事典 三訂版 「花営三代記」の解説

花営三代記
かえいさんだいき

室町幕府の日記
『室町記』『武家日記』ともいう。1巻。筆者は幕府の右筆 (ゆうひつ) であろう。1367年から1425年まで,将軍足利義満・義持・義量 (よしかず) の3代にわたるのでこの名がある。幕府の職制,南朝との関係,段銭,半済 (はんぜい) などに関する重要史料が多い。『群書類従』に収録。

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