移徙(読み)いし

精選版 日本国語大辞典「移徙」の解説

い‐し【移徙】

〘名〙
① 移ること。場所をかえること。また、移すこと。
※続日本紀‐宝亀一一年(780)八月乙卯「然今積以歳月。尚未移徙」 〔司馬相如‐難蜀父老文〕
転居すること。とのうつり。やうつり。
※玉葉‐承安三年(1173)一二月一六日「此日、関白御新造家移徙也、吉時戌刻云々」

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世界大百科事典 第2版「移徙」の解説

わたまし【移徙】

居処をかえること。〈渡り坐し〉からきたといわれ,古くは貴人の転居をさしたもので,移御とも記される。後世は一般に使用される言葉となった。平安朝公家の典型的実例として1063年(康平6)藤原師実が花山院に移ったときの儀礼を示すと,第1に童女2人がそれぞれ水とを擎(ささ)げ,第2に1人が黄牛を(ひ)き,第3に2人がを擎げ,第4に2人が五穀を入れたを持ち,第5に家長,第6に1人が馬のを擎げ,第7に子孫の男,第8に帛を盛った箱を持ち,第9に五穀の飯を入れた甑(こしき)を持ち,第10に家母が鏡をつけ,列をつくって新居に入る。

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普及版 字通「移徙」の解説

【移徙】いし

移動する。〔漢書、西域伝上〕大氏~畜に隨ひて移徙し、匈奴と俗を同じうす。弦十餘(もと)より彊(つよ)くして、匈奴を輕んず。

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世界大百科事典内の移徙の言及

【引越し】より

…現在でも家財の運搬のほかに,手伝いの人々のもてなしや近隣の人々へのあいさつが行われるが,古くはいろいろな儀式や習俗を伴った。中世の貴族社会では引越しを移徙(いし∥わたまし)と呼び,水と燭を捧げた童女2人と黄牛を先頭にした行列を組んで移住し,その後の宴会では粥(かゆ)や湯漬(ゆづけ)を食した。この場合の水と燭(火)は,旧居から新居への住生活の連続性を象徴しており,黄牛は七夕の牽牛織女の伝説に由来するものと考えられていた。…

【建築儀礼】より

…〈屋移り粥(やうつりがゆ)〉と呼ばれる粥をつくって,村人が歌をうたいながらそれを新築の家にふりかける習俗を伝える地方もある。なお,中世の貴族住宅でも,新しい住いに移り住むことを移徙(わたまし)と呼び,その際に粥をつくって祝う習俗が見られる(引越し)。 現代日本では,建築儀礼は伝統的な木造建築に限らず,鉄筋コンクリートや鉄骨構造の建築についてもひろく行われており,一般に地鎮祭と上棟式の二つが主になっている。…

【引越し】より

…現在でも家財の運搬のほかに,手伝いの人々のもてなしや近隣の人々へのあいさつが行われるが,古くはいろいろな儀式や習俗を伴った。中世の貴族社会では引越しを移徙(いし∥わたまし)と呼び,水と燭を捧げた童女2人と黄牛を先頭にした行列を組んで移住し,その後の宴会では粥(かゆ)や湯漬(ゆづけ)を食した。この場合の水と燭(火)は,旧居から新居への住生活の連続性を象徴しており,黄牛は七夕の牽牛織女の伝説に由来するものと考えられていた。…

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