華厳滝(読み)ケゴンノタキ

デジタル大辞泉 「華厳滝」の意味・読み・例文・類語

けごん‐の‐たき【華厳滝】

栃木県日光市にある滝。中禅寺湖から流れ出る大尻おおじり川によってつくられ、落下して大谷だいや川となる。高さ約97メートル、幅約7メートル。

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精選版 日本国語大辞典 「華厳滝」の意味・読み・例文・類語

けごん‐の‐たき【華厳滝】

  1. 栃木県日光市中宮祠にある滝。中禅寺湖の湖水が大尻川となり、男体山から流出した溶岩の壁を落下して大谷(だいや)川となる。高さ九七メートル。滝つぼは水深約五メートル。日光三名瀑の一つ。日光国立公園の一中心。

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日本歴史地名大系 「華厳滝」の解説

華厳滝
けごんのたき

中禅寺ちゆうぜんじ湖東尻から流れ出る大尻おおじり川が高さ約九七メートルを落下する滝。下流華厳渓谷を刻して大谷だいや川となる。霧降きりふり滝・裏見うらみ滝とともに日光三名瀑といわれる。主滝頂部は通常幅約一〇メートル、中間部からは十二じゆうに滝とよばれる中禅寺湖伏流水が流出する。滝は浸食で徐々に後退しており、これにより華厳渓谷がつくられたとみられ、下流に滝壺の跡が残る。現在の滝壺は約四〇メートル四方で、最深約五メートル。奥には空洞がある。

補陀洛山建立修行日記」には、大同二年(八〇七)夏、勝道が祈雨のために「至江尻滝念誦」とあり、この滝が当滝のことと思われる。

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百科事典マイペディア 「華厳滝」の意味・わかりやすい解説

華厳滝【けごんのたき】

栃木県日光市,日光国立公園に属する日本屈指の名瀑(めいばく)(名勝)。中禅寺湖から流出する大尻川が男体山の溶岩でふさがれて生じたもので,高さ97m,幅は上部で10m,滝つぼの深さ20m。冬季結氷。石英斑岩と上層の溶岩(集塊岩)の間から流下,下流は大谷(だいや)川となる。807年勝道が祈雨のためこの滝で念仏をとなえたとされ,江戸時代には華厳滝の呼称もみえるが,滝壺までの道を開いたのは1900年ころとされる。その3年後の1903年に一高生藤村操が投身自殺をしたことで広く知られるようになった。観瀑台までエレベーターがある。
→関連項目奥日光大谷川日光[市]日光

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改訂新版 世界大百科事典 「華厳滝」の意味・わかりやすい解説

華厳滝 (けごんのたき)

栃木県西部,日光市にある滝。中禅寺湖から発した大尻(おおじり)川(大谷(だいや)川源流部)が男体山から噴出した溶岩にかかって,高さ約97m,幅約7mの滝となっている。中禅寺湖の最深部は水面下163mあるのに対し,華厳滝は97mしかなく,中禅寺湖形成以前の古い大谷川は,現在の華厳滝の位置よりは若干男体山側に寄っていたと考えられる。滝壁は花コウ斑岩の上に集塊岩と安山岩が累重し,上部安山岩の下から湧き出す地下水が華厳滝の途中からカーテン状に流下し,これは十二滝と呼ばれる。滝の下部に幅約50m,奥行き約26mの空洞があり,この奥から湧出した地下水も小さな滝となり,大小の滝の浸食作用が加わって,華厳滝は徐々に上流へと後退している。中禅寺湖湖尻にせきがあって大谷川の流れを調節するため,冬の渇水期も通常は水がかれず,厳冬期には凍結した滝の柱がみられる。有料のエレベーター下の観瀑台からの眺めがよく,明智平の展望台からは中禅寺湖と滝の両方が見られる。中禅寺湖湖畔とともに名勝に指定され,日光国立公園の中心をなす。華厳滝,荒沢にかかる裏見滝,板穴川の霧降滝を日光三名瀑といい,華厳滝が最もよく知られる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「華厳滝」の意味・わかりやすい解説

華厳滝
けごんのたき

栃木県日光市中禅寺(ちゅうぜんじ)湖畔の滝。大谷川(だいやがわ)にかかり、日光三名瀑(めいばく)(霧降滝(きりふりのたき)、裏見滝)の第一。中禅寺湖湖畔とともに国が指定する名勝として全国に名高く、日光国立公園の中心景観の一つ。高さ97メートル、幅約7メートル。男体(なんたい)山から噴出した溶岩などが古大谷川をせき止めて出現した中禅寺湖の水が滝となって流れ落ち、滝下に直径約40メートル、水深約5メートルの滝壺(たきつぼ)をつくっている。基盤の花崗斑(かこうはん)岩の上に集塊岩と安山岩が累積して滝壁をつくっている。上部安山岩の下から地下水がわき出して十二滝となって簾(すだれ)のように流れ落ちる。滝壺の水面に近い下部集塊岩に奥行26メートル、幅約50メートルの空洞があり、その奥から地下水が流れ出している。滝は、滝水の落下による滝下のえぐり取りや地下水湧出(ゆうしゅつ)による集塊岩の侵食によって滝壁の下部がえぐり取られ、ついで上部の滝壁が崩落してしだいに後退する。

 滝下流の華厳渓谷は、滝が中禅寺湖側に後退してできたものである。中禅寺湖の湖尻(こじり)において水量を調節するため、通常は冬の渇水期にも水がかれることはない。有料のエレベーターの下の観瀑(かんばく)台からの眺めに迫力がある。明智平(あけちだいら)展望台からの眺望もよく、中禅寺湖と華厳滝の両方を見通すことができる。日光からバスが通じ、第二いろは坂を登り、トンネルを二つくぐると滝の上に出る。

[平山光衛]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「華厳滝」の意味・わかりやすい解説

華厳滝
けごんのたき

栃木県西部,日光市の南西部にある滝。日光四十八滝のうち最大で,日光国立公園の代表的な景勝地でもある。中禅寺湖から流出する大尻川が男体山から噴出した溶岩(柱状節理の輝石安山岩)にかかってできたもので,高さ 97m,幅は上部で約 10m。本滝のほかに,多数の小さな滝があり,中禅寺湖からの地下水が,中段の集塊岩の下から湧出水となって,すだれのように落ちる。なお岩壁の下段は石英斑岩からなる。水量は 6~9月頃が多く,冬から春にかけては大きな氷柱が下がる。滝壺はほぼ円形で深さ約 5m,背後に奥行約 30mの洞窟がある。滝より下流は大谷川と呼ばれる。観瀑台までエレベータで降りられる。国の名勝に指定。

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デジタル大辞泉プラス 「華厳滝」の解説

華厳滝

栃木県日光市にある滝。中禅寺湖から流れる大尻川が男体山の溶岩にかかって生じた滝で、落差は97メートル。滝より下流は大谷(だいや)川となる。「華厳瀑および中宮祠湖湖畔」の一部として、1931年に国の名勝に指定。1990年、日本の滝100選に選定された。

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