日本大百科全書(ニッポニカ) 「奥日光」の意味・わかりやすい解説
奥日光
おくにっこう
栃木県日光市の中宮祠(ちゅうぐうし)から奥地をさし、東照宮(とうしょうぐう)、二荒山(ふたらさん)神社、輪王寺(りんのうじ)のある表日光とともに日光国立公園の中心。火山活動によってできた優れた自然景観が注目され、国際的観光地として著名。男体山(なんたいさん)、大真名子(おおまなご)山、太郎山、白根(しらね)山などに登山路が開け、中禅寺湖(ちゅうぜんじこ)、華厳滝(けごんのたき)、西ノ湖(さいのこ)、竜頭滝(りゅうずのたき)、湯滝、湯ノ湖、切込湖(きりこみこ)、刈込湖(かりこみこ)など湖沼瀑布(ばくふ)に恵まれる。戦場ヶ原(せんじょうがはら)の高層湿原は国立公園特別保護地区。原の西端を曲流する湯川沿いにカラマツ、ミズナラ、ズミなどの樹林やワタスゲなどの湿原植物を縫って自然研究路(部分的に木道)が南北に通じる。
湯ノ湖北岸の湯元(ゆもと)温泉(日光湯元温泉)は中宮祠(中禅寺温泉)と並ぶ奥日光探勝の拠点となっており、冬季はスキー場が開設される。温泉湧出(ゆうしゅつ)が多く、光徳(こうとく)や中宮祠などに引湯されている。千手(せんじゅ)ヶ原、菖蒲(しょうぶ)ヶ浜、光徳などにキャンプ場がある。標高は約1300メートル以上あり夏涼しく、避暑地としても知られる。中禅寺湖、湯川、湯ノ湖にはマスが放流され、5~9月が漁期である。いろは坂と金精(こんせい)道路を含む国道120号が日光から奥日光を経て群馬県沼田(ぬまた)に通じる。日光宇都宮道路が宇都宮と日光市清滝(きよたき)の間に1981年(昭和56)全通して奥日光が近くなった。
[平山光衛]