藤田大五郎(読み)フジタ ダイゴロウ

新撰 芸能人物事典 明治~平成 「藤田大五郎」の解説

藤田 大五郎
フジタ ダイゴロウ


職業
能楽囃子方(一噌流笛方)

専門

肩書
重要無形文化財保持者(能囃子方・笛)〔昭和46年〕,日本芸術院会員〔昭和61年〕

生年月日
大正4年 11月30日

出生地
東京市 上野(東京都 台東区)

経歴
父は一噌流笛方の8代目藤田多賀蔵で、加賀前田家お抱えの笛方の家柄に生まれる。父は安政元年(1854年)の生まれで、61歳の時の子ども。初めは父に、10歳より12代目宗家・一噌又六郎に入門。昭和4年松本長「羽衣」で初舞台。同年父を亡くす。11?15年応召。早くから逸材と目され、30歳までに近藤乾三、17代目宝生九郎、観世華雪野口兼資といった名人たちと共演。24年「清経 恋之音取」、30年「姨捨」「関寺小町」、40年「檜垣」を披く。この間、32年パリ文化祭渡欧能に参加、40年東京能楽団の一員としてアテネフェスティバルに出演。33年より日本能楽会会員、42年同会幹事に就任。45年「鷺」で芸術祭賞大賞を受賞。能楽囃子笛方の第一人者で、幅広い芸風と格調の高い演奏、音色の美しさに定評があった。46年56歳で人間国宝認定された。61年日本芸術院会員、平成17年文化功労者長男の藤田朝太郎、二男の藤田次郎も一噌流笛方として活躍する。

所属団体
日本能楽会

受賞
文化功労者〔平成17年〕 紫綬褒章〔昭和51年〕,勲三等瑞宝章〔昭和62年〕 芸術祭賞奨励賞(昭30年度)〔昭和31年〕「松風 見留」「井筒」,芸術祭賞優秀賞(昭44年度)「松風」,芸術祭賞大賞(昭45年度)「鷺」

没年月日
平成20年 11月15日 (2008年)

家族
父=藤田 多賀蔵(8代目),長男=藤田 朝太郎(一噌流笛方),二男=藤田 次郎(一噌流笛方)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「藤田大五郎」の意味・わかりやすい解説

藤田大五郎
ふじただいごろう

[生]1915.11.30. 東京,東京
[没]2008.11.15. 東京,中野
一噌流笛方の能楽師。加賀藩前田家に仕える笛方,藤田家10世。藤田多賀蔵の長男。父多賀蔵と一噌又六郎に師事。1929年『羽衣』で初舞台。1935年『道成寺』を初演。『井筒』『松風』の笛で 1955年度芸術祭賞奨励賞,『松風』で 1969年度芸術祭賞優秀賞,『鷺』で 1970年度芸術祭賞大賞。1971年重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定。1976年紫綬褒章。1986年日本芸術院会員に就任。2005年文化功労者に選ばれる。最晩年まで格調高い舞台を務め,多くの後継者を育てた。長男に藤田朝太郎,二男に藤田次郎がいる。(→

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「藤田大五郎」の意味・わかりやすい解説

藤田大五郎
ふじただいごろう
(1915―2008)

能楽師。一噌流(いっそうりゅう)笛方。江戸時代には加賀前田藩の笛方町役者だった藤田家の10世。8世藤田多賀蔵の長男として東京に生まれる。1971年(昭和46)能楽師としては異例の若さで重要無形文化財各個指定(人間国宝)の認定を受ける。86年日本芸術院会員。2005年(平成17)文化功労者。律動的な力強い奏法に、格調の高さを加える。長男に朝太郎(1945― )、次男に次郎(1952― )がいる。

[小林 責]

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「藤田大五郎」の解説

藤田大五郎 ふじた-だいごろう

1915-2008 昭和-平成時代の能楽師笛方。
大正4年11月30日生まれ。12代宗家一噌(いっそう)又六郎に師事。昭和4年初舞台。能楽囃子一噌流笛方の第一人者として活躍。46年人間国宝。61年芸術院会員。平成17年文化功労者。平成20年11月15日死去。92歳。東京出身。

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百科事典マイペディア 「藤田大五郎」の意味・わかりやすい解説

藤田大五郎【ふじただいごろう】

能楽一噌流笛方。人間国宝。日本芸術院会員。東京都生まれ。加賀藩の能楽師笛方の家系で12代一噌又六郎に指示した。1929年初舞台,1971年重要無形文化財能囃子笛方保持者に指定された。2005年文化功労者に選ばれた。東京芸術大学講師。

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367日誕生日大事典 「藤田大五郎」の解説

藤田 大五郎 (ふじた だいごろう)

生年月日:1915年11月30日
昭和時代;平成時代の能楽囃子方(一噌流笛方)

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の藤田大五郎の言及

【一噌流】より

…能楽協会には10名ほどの役者が登録され,東京と福岡を中心に活躍している。重要無形文化財各個指定(人間国宝)の藤田大五郎を頂点に芸風が統一され,息の音を混ぜず,装飾音も少なめに,いわゆる〈竹を割ったように〉力強く吹く。中ノ舞,序ノ舞,真ノ序ノ舞といった舞で地にシオリを入れて吹くほか,《猩々乱(しようじようみだれ)》の地に長短2種類ないこと,神楽や楽という舞も森田流藤田流と地の順序が入れ違っていることなど,音楽上この2流と対立していることが多い。…

※「藤田大五郎」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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