虎関師錬(読み)コカンシレン

デジタル大辞泉 「虎関師錬」の意味・読み・例文・類語

こかん‐しれん〔コクワン‐〕【虎関師錬】

[1278~1346]鎌倉末期から南北朝時代臨済宗の僧。京都の人。東山湛照一山一寧らに師事東山の法を継いだ。儒学密教を学び、東福寺南禅寺などに歴住、東福寺に海蔵院開創五山文学先駆者。著「元亨釈書」など。

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精選版 日本国語大辞典 「虎関師錬」の意味・読み・例文・類語

こかん‐しれんコクヮン‥【虎関師錬】

  1. 鎌倉後期・南北朝初期の臨済宗の僧。京都の人。比叡山出家したが、のち南禅寺に入り、諸師に参禅した。学問は内外に通じ、文才に長ずる。康永元年(一三四二国師号を賜わる。著に「元亨釈書」三〇巻のほか「済北集」二〇巻など。弘安元~貞和二=興国七年(一二七八‐一三四六

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「虎関師錬」の意味・わかりやすい解説

虎関師錬
こかんしれん
(1278―1346)

鎌倉・南北朝時代の臨済(りんざい)宗聖一(しょういち)派の僧。京都の人。8歳のとき山城(やましろ)(京都府)三聖寺の東山湛照(とうざんたんしょう)(1231―1291)のもとで出家し、東山の寂後は南禅寺の規庵祖円(きあんそえん)(1261―1313)に学んだ。ついで鎌倉に行き、桃渓徳悟(とうけいとくご)(1240―1307)、蔵山順空(ぞうざんじゅんくう)(1233―1308)、無為昭元(むいしょうげん)(1245―1311)、一山一寧(いっさんいちねい)などに師事し、仏典や禅籍、儒書、詩文を学んで南宋士大夫(なんそうしたいふ)の学芸を身につけ、初期の代表的五山文学僧として唐宋八家に比された。また一山の啓発により日本最初の総合仏教史の編纂(へんさん)を企て、1322年(元亨2)『元亨釈書(げんこうしゃくしょ)』30巻を完成した。さらに東密(とうみつ)や台密(たいみつ)の相承(そうじょう)も受け、自らも密法を修する兼習禅者でもあった。初め京都・河東の歓喜光寺(かんぎこうじ)、白河の済北庵(さいほくあん)、伊賀の本覚寺を兼帯したが、1332年(元弘2)東福寺に入院、1339年(延元4・暦応2)南禅寺に昇住、1341年に東福寺海蔵院に退居したので海蔵和尚(おしょう)とよばれる。翌1342年本覚国師の号を特賜された。1346年7月23日示寂。著書はほかに、『禅儀外文(げもん)集』『聚分韻略(しゅうぶんいんりゃく)』のような四六文の作法や韻書、『済北(さいほく)集』『十禅支録(じゅうぜんしろく)』などの詩文集や語録のほか、『仏語心論』『禅余或問(わくもん)』など多数ある。

[石川力山 2017年7月19日]


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改訂新版 世界大百科事典 「虎関師錬」の意味・わかりやすい解説

虎関師錬 (こかんしれん)
生没年:1278-1346(弘安1-正平1・貞和2)

鎌倉末・南北朝初期の臨済宗の僧。五山文学,学問興隆の先駆者。京都に生まれ幼少より禅を修め,また儒学や密教をも学んだ。30歳のころ鎌倉で一山一寧(いつさんいちねい)に学び,帰京後1322年(元亨2)に僧伝を中心にした仏教書《元亨釈書(げんこうしやくしよ)》を著した。東福寺,南禅寺等の住持を経て,42年(興国3・康永1)に国師号を与えられた。漢詩文集に《済北集》がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「虎関師錬」の意味・わかりやすい解説

虎関師錬
こかんしれん

[生]弘安1(1278).4.16. 京都
[没]正平1=貞和2(1346).7.24. 京都
鎌倉から南北朝時代の臨済宗の僧,詩人。 10歳のとき比叡山で受戒し,南禅寺の規庵祖円,建仁寺の無隠法爾らに帰依するとともに,当時の名僧碩学に内外の典籍を学び,その博学は天下に鳴り響いた。 22歳のとき一山一寧 (いっさんいちねい) に深く傾倒して侍者となり,のちに三聖寺,東福寺,南禅寺などの住持をつとめ,興国3=康永1 (1342) 年,後村上天皇より国師号を賜わった。五山禅僧のうち最も博学な学者で,日本最初の仏教史書『元亨釈書 (げんこうしゃくしょ) 』 (22) や分類韻書の模範ともいうべき『聚分韻略』 (07?) ,四六文の作法書『禅儀外文』などの著述がある。ほかに詩文集『済北集』 (46以前) がある。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「虎関師錬」の解説

虎関師錬
こかんしれん

1278~1346.7.24

鎌倉後期~南北朝期の臨済宗の僧。諡号は本覚国師。京都生れ。父は藤原左金吾校尉。8歳で臨済宗聖一派東山湛照(とうざんたんしょう)のもとに参禅,東山の没後,規庵祖円・桃渓徳悟らに従い修行。1307年(徳治2)建長寺の一山一寧(いっさんいちねい)を訪ねたのを機に,22年(元亨2)「元亨釈書」を著す。また鎌倉の無為昭元(むいしょうげん)・約翁徳倹(やくおうとっけん)の会下(えげ)に入る一方,仁和寺・醍醐寺で密教を学ぶ。39年(暦応2・延元4)南禅寺の住持となり,41年(暦応4・興国2)東福寺海蔵院に退き,翌年後村上天皇から国師号をえた。菅原在輔から「文選」を,六条有房から「易」を学ぶなど研鑽に努め,該博な知識をえた。「聚分韻略(しゅうぶんいんりゃく)」「済北(さいほく)集」など著作多数。

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百科事典マイペディア 「虎関師錬」の意味・わかりやすい解説

虎関師錬【こかんしれん】

鎌倉末〜南北朝期の臨済宗の学僧。師練とも記す。京都の人。比叡(ひえい)山で出家。諸国を訪れ一山一寧(いっさんいちねい)らに師事。東福寺,南禅寺,楞伽(りょうか)寺等に歴住。詩文に長じ,著書は《元亨(げんこう)釈書》《済北集》等。
→関連項目小弓荘五山文学

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「虎関師錬」の解説

虎関師錬 こかん-しれん

1278-1346 鎌倉-南北朝時代の僧。
弘安(こうあん)元年4月16日生まれ。臨済(りんざい)宗。京都の人。東山湛照(とうざん-たんしょう),規庵祖円,一山一寧(いっさん-いちねい)らに師事,東山の法をつぐ。密教をおさめ,儒学や詩文をまなぶなど幅ひろい分野に通じ,五山文学の先駆となった。京都の東福寺,南禅寺などの住持を歴任。貞和(じょうわ)2=興国7年7月24日死去。69歳。通称は海蔵和尚。諡号(しごう)は本覚(ほんがく)国師。著作に「元亨(げんこう)釈書」「済北集」など。

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旺文社日本史事典 三訂版 「虎関師錬」の解説

虎関師錬
こかんしれん

1278〜1346
鎌倉末期・南北朝初期の禅僧
虎関は号。京都の人。1299年一山一寧 (いつさんいちねい) に従って円覚寺に入り,のち東福寺に移る。1322年,初の日本仏教史『元亨釈書 (げんこうしやくしよ) 』を完成。五山文学の先駆者としても有名。著書はほかに『禅戒規』『済北集』など。

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367日誕生日大事典 「虎関師錬」の解説

虎関師錬 (こかんしれん)

生年月日:1278年4月16日
鎌倉時代後期;南北朝時代の臨済宗聖一派の僧
1346年没

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世界大百科事典(旧版)内の虎関師錬の言及

【漢詩文】より

…【川口 久雄】
【中世】
 中世の漢文学の主流は,何といっても五山禅僧の作品である。鎌倉時代の作者には虎関師錬(こかんしれん),雪村友梅(せつそんゆうばい),中巌円月(ちゆうがんえんげつ)がある。虎関師錬は一山一寧(いつさんいちねい)より学んだので,やや古風な作風を有するが,雪村は在元22年の長きにわたり,中国人の文脈句法を体得した人であり,中巌円月は在元の期間は雪村友梅ほど長くないが,その文脈句法の体得は雪村以上で,とくに四六文の学習に力を注いだ人である。…

【元亨釈書】より

…30巻。虎関師錬著。師錬は初期の五山文学を代表する詩僧で,東福寺,南禅寺などの住持をつとめた。…

【辞書】より

…漢字1字ごとに,片仮名で音訓を示した平易なもので,以後広く行われた。 韻引きのものでは,虎関師錬(こかんしれん)が《聚分韻略》を著した。嘉元4年(1306)と記した序があり,まもなく開板流布したものとみられる。…

【和算】より

…室町時代になると,数学遊戯に類する問題がよく行われた。虎関師錬の《異制庭訓往来》には,〈十不足〉〈百五減〉〈盗人隠〉〈左々立(ささだて)〉などの碁石を使って遊べる遊戯が並べられている。《簾中抄(れんちゆうしよう)》には,〈継子立〉と〈目付字(めつけじ)〉の記事がある。…

※「虎関師錬」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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