デジタル大辞泉 「被害者参加制度」の意味・読み・例文・類語
ひがいしゃさんか‐せいど【被害者参加制度】
[補説]被害者参加制度は犯罪被害者支援策の一つとして導入されたが、一般の市民が刑事裁判に参加する裁判員制度の対象事件と重なることから、審理の混乱や重罰化を懸念する見方や、裁判に参加した被害者やその家族が法廷で二次被害を受けることを懸念する見方もある。
事件の被害者や遺族らが刑事裁判に参加できる制度。オウム真理教事件などをきっかけに本格化した被害者支援策の一環として、2008年に始まった。公判に出席し、検察官席のそばに座って被告や証人に直接質問できるほか、法律の適用や量刑について意見を述べることができる。殺人など生命、身体に関する重大犯罪が対象。代理人の弁護士が代わりに質問することもできる。被害者側が検察官を通じて申請し、裁判所が許可する。
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出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報
犯罪被害者やその家族(遺族)等が刑事裁判に直接参加できる制度。2007年(平成19)に改正刑事訴訟法が成立し、2008年12月から導入された。殺人・同未遂、傷害、危険運転致死傷、過失運転致死傷、強制わいせつ・強制性交等、業務上過失致死傷、逮捕・監禁、略取・誘拐、人身売買などの重大犯罪の被害者と家族(配偶者、直系の親族、兄弟姉妹など)が対象である。被害者は裁判所から許可を受け、「被害者参加人」として公判に出席し、検察官の脇に席を設けられ、被告への直接質問、証人への直接尋問、被告に科すべき刑の重さなどについての意見陳述(論告)をすることができる。検察官と異なる量刑を提示することも認められている。1995年(平成7)の地下鉄サリン事件や1997年の神戸連続児童殺傷事件などで、「被害者やその家族が裁判に参加できないのはおかしい」「被告の理不尽な主張に反論できないのは納得できない」とする声が高まり、「全国犯罪被害者の会」が55万人あまりの署名を集めて制度導入を求めた結果、犯罪被害者支援策の一つとして導入された。導入後、2013年10月時点で、延べ4390人が被害者参加制度を利用した。なお海外ではフランスやドイツなどに被害者参加制度がある。
被害者参加制度では、被害者から委託を受けた弁護士が被害者の代理として参加し、被害者の意見を代弁することが認められている。一般に被害者は法廷に不慣れなうえ、事件の精神的ショックが残っている場合もあるため、被害者に助言などをする弁護士を同席させることもできる。日本司法支援センター(法テラス)は、被害者支援の経験や理解のある弁護士を紹介する業務を行っている。また、国費で弁護士をつけることも可能である。2013年12月からは、参加した被害者等に対し、国が旅費、宿泊費、日当などを支給する制度も始まった。
被害者参加制度に対しては、被害者の加害者に対する感情を受け止めることができる制度と評価する意見がある一方、審理の混乱、量刑の重罰化、被害者が死亡している場合には裁判に参加できる遺族の有無によって量刑に差が生じ「法の下(もと)の平等」が損なわれる、などの懸念が出ている。被告と法廷で対面するため、被害者やその家族が二次被害を受ける恐れもある。このため施行から3年後に必要があれば法律を見直す条項があったが、制度そのものに対する見直しは行われていない。
[編集部]
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