観音塚古墳(読み)かんのんづかこふん

精選版 日本国語大辞典 「観音塚古墳」の意味・読み・例文・類語

かんのんづか‐こふんクヮンオン‥【観音塚古墳】

  1. 群馬県高崎市にある前方後円墳。全長一六〇メートル。葺石(ふきいし)埴輪(はにわ)円筒列があり、鏡、金環、銀釧(ぎんくしろ)銅鋺(どうわん)馬具大刀甲冑須恵器などを出土史跡指定。

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日本歴史地名大系 「観音塚古墳」の解説

観音塚古墳
かんのんづかこふん

[現在地名]高崎市八幡町

からす川と碓氷うすい川に挟まれた、幅一・三キロの高燥な舌状台地にある前方後円墳。国指定史跡。一帯には八群二〇〇基余りからなる八幡やわた古墳群があり、当古墳はその南寄りに前方部を西北に向けて位置する。南西方および東南方には二〇〇メートルほどの等距離に平塚ひらつか古墳と二子山ふたごやま古墳があり、正三角形の頂点に三基の前方後円墳が位置するようにみえる。当古墳は前方部が発達した典型的な二子山形式の墳丘で、全長一〇五メートル、前方部幅も一〇五メートル、後円部径七五メートル。高さは現裾部から両丘とも一二メートルであるが、東方傾斜のため前方部が二メートル高い。二段築成の墳丘には葺石と埴輪が存在し、幅広の周堀跡が残る。基壇南方で昭和二〇年(一九四五)巨石を用いた巨大な石室が発見され、豊富な副葬品が出土した。


観音塚古墳
かんのんづかこふん

[現在地名]羽曳野市飛鳥

鉢伏はちぶせ(二〇三・七八メートル)から南に延び、さらに南東に折れた丘陵端の標高約一〇〇メートルに位置する。墳形は一辺一二メートル前後の方墳か円墳と推定される。国指定史跡。内部主体はくり抜きによる身と蓋からなる横口式石槨で、前面には前室と羨道を設けている。石槨の内法は長さ一・九三メートル、幅〇・九二メートル、高さ〇・七八メートル。南側に幅〇・六メートル、高さ〇・六四メートルの横口部がある。四周に扉石をはめ込むための仕口があるが、扉石は失われている。

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改訂新版 世界大百科事典 「観音塚古墳」の意味・わかりやすい解説

観音塚古墳 (かんのんづかこふん)

群馬県高崎市八幡町に所在する前方後円墳。南を碓氷川に,北を烏川に画された,高崎市西郊の低丘陵上にほぼ北西に面して築かれる。全長105m,後円部径70m,前方部幅105mをはかる。周濠をそなえた痕跡があり,また葺石(ふきいし),埴輪を有する。1945年,後円部で南に開口する横穴式石室が発見され,副葬品が出土した。石室は両袖式で,全長15.3mをはかる。副葬品には鏡,金環,銀釧(ぎんくしろ),承台付銅鋺(かなまり),銅鋺,刀,矛,銀弭(ぎんゆはず),鉄鏃挂甲(けいこう),馬具,工具,須恵器などがある。鏡は4面を数える。3面は仿製鏡で,うち1面の五鈴鏡を含む。残る1面は中国製画文帯神獣鏡を踏み返した鏡であり,埼玉県埼玉(さきたま)稲荷山古墳などから同型鏡の出土が知られる。刀に銀装横刀が含まれ,馬具の杏葉(ぎようよう)の透し彫文様が仏像の光背文に類似する点で,古墳の営造年代は7世紀とみられる。なお,出土品は一括して1960年に国の重要文化財に指定された。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「観音塚古墳」の意味・わかりやすい解説

観音塚古墳
かんのんづかこふん

群馬県高崎市八幡(やわた)町にある7世紀初頭の前方後円墳。烏(からす)川と碓氷(うすい)川に挟まれて東西に延びる丘陵性台地に前方部を西面して占地している。墳丘は二段構築、全長105メートル、前方部幅105メートル、後円部径70メートル、前方部高さ14メートル、後円部高さ12メートルで、前方部が著しく発達した形状である。周囲には濠(ごう)を巡らした跡が凹地となって残っており、墳丘には葺石(ふきいし)があり、埴輪(はにわ)円筒列が巡らされ、埴輪人物、馬、家、器材類も認められる。後円部に巨石積みの両袖(りょうそで)型横穴式石室があり、全長15.3メートル、玄室長7.15メートル。副葬品には銅鏡、玉類、武器・武具類、馬具類、銅製容器類、須恵器(すえき)類があり、とくにそれらの金銅、銅製品に仏教の影響を強くうかがわせる優れた品が多い。1948年(昭和23)国の史跡に、出土品は60年国の重要文化財に指定された。

[梅澤重昭]

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