(読み)カ

デジタル大辞泉 「訛」の意味・読み・例文・類語

か【訛】[漢字項目]

[音]カ(クヮ)(慣) [訓]なまり
本来の話や考えなどの内容がいつのまにか変わる。「訛伝
正式の発音文字からずれる。なまる。なまり。「訛音訛言・訛字/転訛
[補説]「譌」は異体字
難読訛声だみごえ

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精選版 日本国語大辞典 「訛」の意味・読み・例文・類語

クヮ【訛】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある地域、または個人標準とちがう発音、アクセントなどをもつこと。また、その言い方。なまり。〔旧唐書地理志・三・河西道〕
  3. ことばや文字のあやまり。
    1. [初出の実例]「爰細加釐定、訂訛正舛、寿諸梨棗」(出典読本椿説弓張月(1807‐11)拾遺)

なまり【訛】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「なまる(訛)」の連用形名詞化 ) ある地方にみられる、標準語共通語とは異なった発音。
    1. [初出の実例]「みちのくのかねをばこひて掘なましいもなまりのわすられぬかな」(出典:頼政集(1178‐80頃)下)
    2. 「弘前なまりが容易に取れぬので」(出典:生(1908)〈田山花袋〉三九)

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普及版 字通 「訛」の読み・字形・画数・意味


11画

(異体字)譌
19画

[字音] カ(クヮ)・ガ(グヮ)
[字訓] いつわる・あやまり

[説文解字]
[金文]

[字形] 形声
正字は譌に作り、爲(為)(い)声。訛はその異体字で、(化)(か)声。

[訓義]
1. 偽・譌と通じ、いつわり、いつわる。
2. 正しからぬこと、あやまり、なまる、たがう、かわる。
3. と通じ、うごく。

[古辞書の訓]
〔新字鏡、享和本〕訛 太波己止(たはこと) 〔名義抄〕訛・譌 イツハル・タガフ・カザル・アヤマレリ・ヒナフ・ウゴク・ウゴカス・ヨコタハル・ヨコナハル・カマビスシ

[熟語]
訛音・訛火訛偽訛闕・訛言・訛誤訛語訛索訛錯訛舛訛奪・訛頭・訛訛濫
[下接語]
違訛・音訛・姦訛・欺訛・疑訛・欠訛・校訛・字訛・承訛・正訛・声訛・贅訛・舛訛・貞訛・転訛・伝訛・弁訛・民訛・妖訛

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「訛」の意味・わかりやすい解説


なまり

標準語とあわない発音をいうが、内容はさまざまである。(1)関西のケツネ(狐)のような、個々の単語の発音のずれ、(2)下町ことばのの混同のような、関係する音節をもつ単語すべてに及ぶもの、(3)母音の音声のずれや単語のアクセントの違いのように、文字に表されないが、朗読すると出るようなもの、などである。(1)については、語源や発想の違うものを俚言(りげん)とよび、発音のずれである訛(訛語(かご))と区別する考えもあるが、実際には境界を引きにくい。(2)や(3)のような訛によって出身地がわかることがある。一方、訛のあることばは社会的に低くみられることがあり、訛を笑われて「方言コンプレックス」に陥ることもある。

[井上史雄]

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改訂新版 世界大百科事典 「訛」の意味・わかりやすい解説

訛 (なまり)

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世界大百科事典(旧版)内のの言及

【方言】より

…普通は場所による違い(地域方言)を指すが,欧米では社会階層,職業による違い(社会方言)をも〈方言〉ということがある。
【方言の概念とその周辺】

[方言と俚言・訛]
 学問的には〈方言〉を,ある地域で使われる言葉の全体を指す用語として使う。しかし一般に〈方言〉というと,個々の単語,しかも共通語と語形の違うものを指していうことも多い。…

※「訛」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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