訪問看護ステーション(読み)ホウモンカンゴステーション

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

訪問看護ステーション

在宅療養している患者宅を看護師らが訪れ、医師の指示に基づいた処置や酸素吸入器などの機器の管理、リハビリテーションなどを行う。がん末期患者へのターミナルケアでは苦痛の緩和のほか、本人や家族への心理的サポートをすることもある。

(2008-01-28 朝日新聞 朝刊 2社会)

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百科事典マイペディアの解説

訪問看護ステーション【ほうもんかんごステーション】

1992年4月,老人保健法に基づいて始められた制度。在宅で寝たきり状態となった患者をまず医師が訪問診察し,その指示によって看護婦たちが家庭に出向いて看護などの在宅ケアを行うシステム。 当初は高齢者を対象としたものであったが,1994年10月の健康保険法改正によって,在宅の難病患者や障害者にも対象が広がった。利用できるのは,病気やケガ等で寝たきりまたはそれに準ずる人のうち,かかりつけ医が訪問看護を必要と認めた人,認知症(痴呆性)老人や寝たきりに陥る恐れのある人のうち,かかりつけ医が,理学療法や作業療法を必要と認めた人,病気やケガ等で家庭において継続して療養を受ける状態の人のうち,かかりつけ医が訪問看護,理学療法,作業療法を必要と認めた人とされている。 1990年代のゴールドプランなどによる在宅福祉政策の推進によって注目を集めている〈在宅ケア〉の中核を担うものとして,その果たす役割も増大している。 具体的なサービスの内容は,病状の観察,医療的処置および相談(酸素吸入,床ずれ処置等),看護・介護技術の実施と相談(洗髪,排泄等),栄養・食事療法に関する相談など,リハビリテーションの実施と相談,かかりつけ医への連絡,生活環境の調節等,多岐にわたる。 また,医療保険制度の改正により,訪問看護ステーションは,こうした看護や介護サービスのほかに,在宅酸素療法や自己腹膜灌流法(CAPD),中心静脈栄養法(IVH)など,在宅医療の中核的役割を担うようになり,それに伴って,メンバーも,看護婦のほか,保健婦,理学療法士,作業療法士など多彩になった。これらはすべて,医師の指示のもとに活動している。 訪問看護利用料は老人保健対象者は1回につき250円,その他の利用者には健康保険が適用される。ただし,医師や看護婦などの交通費やカテーテルなどの保険適用範囲外の材料費等は,患者の実費負担となる。 ステーションを開設している事業者は,医療法人,社会福祉法人,医師会,看護協会,地方公共団体などで,1997年7月1日現在,都道府県知事の指定を受けて稼動している訪問看護ステーションは,全国に2048施設ある。1998年6月に発表された1997年の〈訪問看護統計調査〉では,訪問看護ステーションの利用者は,前年度(1996年)に比べて約1.5倍に増えているという。
→関連項目在宅福祉

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

訪問看護ステーション
ほうもんかんごすてーしょん

自宅で療養する高齢者などに訪問看護サービスを提供する機関。高齢者の在宅ケアを支えるために1992年(平成4)、老人保健法を改正して制度化された看護師や保健師の開業制度である。従来、看護系職種で独立して開業できるのは助産師だけであったが、本法によって看護師や保健師にも開業権が認められたもので、創設に際しては日本医師会から大きな抵抗があった。1994年からは利用対象が一般患者にも拡大された。サービス内容は、医師の指示のもとに行う治療介助や介護指導のほか、リハビリ指導など多彩である。サービス担当者は保健師、看護師、准看護師ほか、理学療法士(PT)、作業療法士(OT)である。この制度は老人保健法・健康保険法・介護保険法と連動しており、かかりつけ医の指示によって看護師(保健師・助産師等)が自宅を訪問し、医療的処置・管理等をするほか療養上の相談に乗るなど在宅療養を可能とするものである。介護保険制度における居宅介護サービスの一つとして位置づけられている。訪問看護ステーションは制度創設翌年の1993年に277か所、5年後の1998年に2756か所、2000年には4730か所と増えた。1999年12月に策定された「ゴールドプラン21」では2004年までに9900か所を整備するとしたが目標達成には到らず、2005年で5480か所あったものが2006年は5470か所、2007年には5407か所に減少している。これに伴い2006年の利用者数が約28万人だったものが2007年には約27.5万人に減少した。その理由は、(1)実際にかかるコストのわりにはサービス対価が低廉であること(経営難に陥るステーションが増加)、(2)サービスの利用可能回数に制限があり実態にそぐわないこと、(3)従事者の業務が繁多であること、(4)従事者の給与が低すぎること、などがその要因にあげられている。[吉川武彦]
『山崎摩耶編著『介護保険と訪問看護ステーション――その理念と経営戦略』(1999・中央法規出版) ▽日本訪問看護振興財団編『継続看護実践ガイド――医療機関と訪問看護をつなぐ看護連携』(2002・中央法規出版)』

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