故事成語を知る辞典 「「論語」と孔子の名言」の解説
「論語」と孔子の名言
■「論語」とは、儒教の開祖、孔子の言行を記録した書物です。孔子は、紀元前五五二年(一節には五五一年)に、現在の山東省にあった、
■「論語」が愛読されてきた理由の一つは、いわゆる処世訓を数多く含んでいるところにあるでしょう。「過ちては改むるに憚ることなかれ」、「己の欲せざる所は人に施すなかれ」、「義を見てせざるは勇なきなり」、「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」などは、いずれも、人が生きていく上で大切なことを簡潔に言い表した、名言です。
■処世訓に富んでいる「論語」は、説教臭い書物だと思われがちです。しかし、実際の「論語」には、処世訓とはことなる魅力を持つことばも、たくさん見られます。
■たとえば、「逝く者はかくのごときか」では、川の流れを前にしながら、孔子が詩人のようなつぶやきを洩らして見せます。「酒は量無し、乱に及ばず」では、お酒を飲む孔子の姿が。また、「鶏を割くになんぞ牛刀を用いん」や「この人にしてこの病あり」のように、孔子と弟子たちとの人間的な交流をしのばせることばも、含まれています。
■このように、「論語」とは、人生を知り尽くした孔子という人物の、人間的な魅力が詰まった書物なのです。
■なお、紀元前の中国における孔子の存在感は抜群で、儒教以外の書物にも、よく孔子が登場します。「荘子」に由来する「君子の交わりは淡きこと水のごとし」や、「流水に鑑みる無くして止水に鑑みる」は、その例です。
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