デジタル大辞泉
「諱」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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いみ‐な【諱・謚・諡】
- 〘 名詞 〙 ( 「忌み名」の意 )
- ① 本名。生前の名で、その死後人々がいう。
- [初出の実例]「内命婦石川朝臣応レ詔賦レ雪歌一首 諱曰二邑婆一」(出典:万葉集(8C後)二〇・四四三九・題詞)
- 「後鳥羽院と申すおはしましき。御いみな尊成」(出典:増鏡(1368‐76頃)一)
- ② 死後に尊んで付けた称号。おくりな。のちのいみな。
- [初出の実例]「太政大臣になり給ひぬる人は、うせ給ひてのちかならずいみなと申すものあり」(出典:大鏡(12C前)一)
- ③ ( ①の意を誤って ) 実名の敬称。貴人の一字を賜わる時などにいうことが多かった。
- [初出の実例]「忝も天子の御諱(イミナ)の字をくだされて、高氏と名のられける高の字を改めて、尊の字にぞなされける」(出典:太平記(14C後)一三)
- ④ (詩の表現などで)忌避すべき名称・呼称。
- [初出の実例]「所レ詠之物の、いみなを、をかさざるものぞ。但し雍陶が、詩には、鷺の字を、おかしたぞ」(出典:三体詩素隠抄(1622)二)
ただ‐の‐みな【諱】
- 〘 連語 〙 御実名。
- [初出の実例]「神日本磐余彦の天皇、諱(タタノミナ)は彦火火出見」(出典:日本書紀(720)神武即位前(熱田本訓))
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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諱 (いみな)
huì
中国や日本などで,生前の実名をいう。死後,実名を忌んで口にしない風習より生じた。秦代に始まるとするのが郭沫若の説。のち転じて生存中の名も忌むようになる。名を諱と称する例は漢代からあり,日本でも貴人を敬うときに認められる。諱は,皇帝にかかわる国諱(こくき)についてとくに厳格だが,六朝時代には家諱(かき)の風が流行し,嫌名(けんめい)(似た名の避諱)にまで及んだ。避諱のために,一般には代字を用い,ときに欠字,欠画などを行う。
→字(あざな) →諡(おくりな)
執筆者:勝村 哲也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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諱
いみな
忌み名の意であり、人の死後その実名をいうことを忌むのでそれを諱といった。死後につける諡(おくりな)のこともいった。貴人の諱はやたらに口にすべきものではないとされている。諱については中国の風習がいろいろと移入されている。男の諱は漢字の二字にするなどがそれであった。しかしわが国の諱は中国とは違った慣習が行われていた。家や氏によって決まった一字をつけるなどがそれであり、平家の盛、源氏の義の字をつけることがよく知られている。また輩行によって太郎、二郎、三郎と年の順序によって命名することは今日も一般に行われている。武家社会では主君の諱の一字を臣下に与える風習があった。
[大藤時彦]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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諱
いみな
本名・実名(じつみょう)のことだが,とくに生前の名をその死後に人々がいう場合の名をさす。もともと,死後はその人の実名を忌んで口にしなかったことから,この呼称が生じたとされる。のちにはそうした区別がなくなり,生前においても実名のことを諱とよんだ。また,貴人などの実名は口にするのもはばかられたため,その実名を敬称して諱とよぶこともあった。「偏諱(へんき)を賜う」といういい方もこれにもとづいたもので,特別なことがないかぎり貴人の実名を他に用いることは避けられた。死後にその人をたたえてつけられる称号・諡(おくりな)のことをさして,「のちのいみな」ともいう。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
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世界大百科事典(旧版)内の諱の言及
【元服】より
…添臥に選ばれた女性がそのまま正妻になることも多く,しかも平安中期以降とくに男子より年上の例が多く,《源氏物語》の光源氏の場合も12歳に対して葵上(あおいのうえ)は四つも年上であった。冠者は元服と同時に童名(わらわな)をやめ実名(諱(いみな))が付けられ,位階を進められた。ちなみに女子では髪上(かみあげ),[裳着](もぎ)が元服に当たる。…
※「諱」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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