識名園(読み)シキナエン

デジタル大辞泉 「識名園」の意味・読み・例文・類語

しきな‐えん〔‐ヱン〕【識名園】

沖縄那覇市にある、中国皇帝からの使節接遇のために造られた琉球王家の別邸跡。沖縄独自の様式の中に中国風の六角堂などを取り入れた回遊式庭園で、完成尚温しょうおん王時代の1800年ごろといわれる。首里城の南にあることから南苑とも呼ばれた。平成12年(2000)国の特別名勝指定され、同年「琉球王国グスク及び関連遺産群」の一つとして世界遺産文化遺産)に登録された。→琉球

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日本歴史地名大系 「識名園」の解説

識名園
しきなえん

[現在地名]那覇市真地

那覇市南東部、識名しきな台地の中央部東、字真地まあじに位置する。国指定特別名勝。南苑なんえんまた識名之御殿しちなぬうどうんともいい、国王尚温の冊封使歓待のために造られた。識名園は近代の呼称。日本風の大名庭園石橋・八角堂など中国的要素を取入れ、琉球の果樹木を配した琉球国随一の庭園。通常は王家の別邸として使用された。柯姓国吉家家譜によると、識名園の普請は嘉慶三年(一七九八)三月に命が下り、翌四月二二日起工、同年一二月二〇日に完成した。同五年国王尚温冊封のため正使趙文楷・副使李鼎元一行が来琉、識名園(南苑)招宴を受けた(「球陽」尚温王六年条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「識名園」の意味・わかりやすい解説

識名園
しきなえん

沖縄県那覇市にある琉球(りゅうきゅう)王尚(しょう)家の別邸跡。国指定特別名勝。造園は琉球王尚穆(しょうぼく)時代の1783年に着手したと伝えられる。完成は尚温(しょうおん)王時代の1799年。国指定天然記念物シマチスジノリの発生地の育徳泉がある。育徳泉に隣接して、心字形の池がつくられ、中国風の石橋が架けられていたが、第二次世界大戦の戦禍を受けた。その後1975年(昭和50)から1996年(平成8)にかけて復原整備を行った。2000年(平成12)琉球地方の独特な文化遺産を対象に「琉球王国のグスクおよび関連遺産群」が世界遺産の文化遺産に登録されており、登録遺産群9か所のうちの一つに含まれている。近くに識名霊園があり、周辺一帯は墓地になっている。

[堂前亮平]


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百科事典マイペディア 「識名園」の意味・わかりやすい解説

識名園【しきなえん】

沖縄県那覇市にある国の特別名勝の庭園。2000年世界遺産に登録。首里城の南に位置していたので,南苑ともいわれた。造園は琉球王尚穆(しょうぼく)時代の1783年に着手したと伝えられているが,定かではない。完成は尚温王時代の1800年である。中央に心字池を設け,島には中国風の石橋をかけ,池の周りに建物,石灯籠が配された中国様式と沖縄様式の折衷様式で建築された。完成当時は,中国皇帝からの使者をもてなす迎賓館として使われた。第2次世界大戦で破壊されたが,復元・整備され,かつての華麗なたたずまいを取り戻している。敷地内の泉に生える淡水産の紅藻類〈シマチスジノリ〉は国の天然記念物に指定されている。
→関連項目沖縄[県]

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事典・日本の観光資源 「識名園」の解説

識名園

(沖縄県那覇市)
新おきなわ観光名所100選」指定の観光名所。

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