責問権(読み)セキモンケン

デジタル大辞泉 「責問権」の意味・読み・例文・類語

せきもん‐けん【責問権】

民事訴訟で、裁判所または相手方訴訟行為手続法規に違背したことに対して異議を述べ、その違法を主張する当事者権能

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精選版 日本国語大辞典 「責問権」の意味・読み・例文・類語

せきもん‐けん【責問権】

  1. 〘 名詞 〙 民事訴訟で、当事者が裁判所または相手方の訴訟手続に関する規定違反した訴訟行為に対して異議を述べ、その違法を主張する権能。

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改訂新版 世界大百科事典 「責問権」の意味・わかりやすい解説

責問権 (せきもんけん)

現代の民事裁判では,法律の定めるところに従う訴訟手続の遂行要請されている(〈法による裁判〉の要請)。もし裁判所または相手方に手続に関する法規違反の行為があれば,これによって不利益をうける当事者は,その行為に異議を述べて,その効力を争うことができる。この当事者が異議を述べる権能を,責問権という。

 ところで,訴訟手続はいくつかの訴訟行為を積み重ねながら進行するものであるから,かりにそのなかの一つの訴訟行為が法規違反のために無効であった場合には,論理的には,この行為を前提として手続が進行した後においても,その後の手続もつねにすべて無効となり,手続をやり直さなければならないことになる。しかしそれでは訴訟手続の,したがってまた審理能率が著しく害される。そこで民事訴訟法は,訴訟手続に関する法規の中には,公益上絶対に遵守すべき規定(強行規定。たとえば,裁判官の除斥,専属管轄,当事者能力等に関する規定)と,主として当事者の利益保護のために存する規定(たとえば,訴状送達証拠調べ方式などに関する規定)とがあることから,前者についてはともかく,後者の違反については,これにより不利益をうける当事者がその責問権を放棄する場合(この場合には強いて無効とする必要がない),さらに,当事者がその違反を知り,または知りえたにもかかわらず,遅滞なく異議を述べない場合には責問権を喪失したものとして(民事訴訟法90条),その訴訟行為をそのまま有効とし,手続の円滑と訴訟の経済を図っている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「責問権」の意味・わかりやすい解説

責問権
せきもんけん
Rügerecht

民事訴訟法上,裁判所あるいは相手方によって訴訟追行に関する手続規定に違反した訴訟行為がなされた場合に,異議を述べてその効力を争うことができる当事者の権能。強行規定違反の訴訟行為ではなく,効力規定のなかでも主として当事者の利益保護のための規定 (訴え提起の方式,送達,手続の中断・中止,証拠調べの方式など) 違反の訴訟行為に関して,責問権が随時に行使されると,訴訟手続の進行を阻害するので,当事者に責問権の放棄を認める。さらに当事者が規定違反の事実を知りながら,あるいは知ることができたのに遅滞なく異議を述べなかった場合には,責問権の喪失が認められる。遅滞の有無は各場合に裁判所が判断する。

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