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質量スペクトル しつりょうスペクトルmass spectrum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

質量スペクトル
しつりょうスペクトル
mass spectrum

物質をイオン化したとき生成する種々の荷電粒子の質量で,正確には質量 m と電荷 e (電荷素量を単位とする整数) との比 m/e と相対強度の実測値。質量スペクトルは,物質がイオン化し,また結合が開裂する過程を反映しているので,物質同定に有効であり,また分子構造解析や解釈に有用である。しかし,これはイオン化方式とその条件で変貌する。メタンの圧力を増大すると,イオン-分子反応 CH4++CH4→CH5++CH3 による m/e17CH5+ が圧力の2乗に比例して増大する。そこでメタンを反応ガスとして微量試料 (化学式M) と混合すると,反応 M+CH5+→(M+H)++CH4 が起り,(M+H)+ イオンが強く,断片 (フラグメント) イオンがほとんど存在しなくなる。これを化学イオン化と呼ぶ。化学イオンは,分子イオン M+ が不安定で,電子衝撃イオン化では検出不可能な場合でも,(M+H)+ などとして検出可能な特徴をもつ。メタンでは,衝撃加速電圧を増大していくと,約 13eVで初めて m/e16CH4+ が出現し,続いて約 14.3eVで m/e15CH3+,… などが出現する。出現電圧は各イオン生成に必要な最小エネルギーであり,基底状態分子イオンの場合はイオン化エネルギーと呼ぶ。これは電子準位や結合エネルギーに関する重要な実測値である。質量スペクトルでは,イオンが飛行中にさらに開裂した準安定イオン (ピーク) が特異な見かけ質量で現れることがある。また正イオンばかりでなく,負イオン質量スペクトルからも特有な情報が得られる。高分解能質量スペクトルでは各イオンについて質量精密測定によりただちに元素組成決定が可能である。 (→質量分析計 , 質量分析 )

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デジタル大辞泉の解説

しつりょう‐スペクトル〔シツリヤウ‐〕【質量スペクトル】

質量分析器などで、イオンをその質量と電荷との比に応じて分け、大きさの順に並べたもの。

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百科事典マイペディアの解説

質量スペクトル【しつりょうスペクトル】

質量分析器または質量分析計により得られる,原子・分子を質量の順に並べた分析スペクトル(スペクトル)。前者では写真乾板に記録されたスペクトル線の間隔から粒子の質量を測定し,後者では記録紙またはブラウン管上に記録されたスペクトル線の高さから各粒子の存在量を測定する。

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世界大百科事典 第2版の解説

しつりょうスペクトル【質量スペクトル mass spectrum】

質量分析装置で得られるスペクトル。たとえばメタン分子CH4を質量分析計に導入すると,メタン分子から生成したイオンの質量スペクトルが得られる(図)。メタン分子がイオン化するとCH4が生成し,その質量は(12×1)+(1×4)=16amu(原子質量単位)となり,比質量(質量を電荷で割った値,m/z)が16のイオンとして記録される。このイオンは分子イオンと呼ばれる。さらにm/z=15,14,13,12等のイオンもピークとして現れる。

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大辞林 第三版の解説

しつりょうスペクトル【質量スペクトル】

イオンの混合物を、その質量を電荷で割った値に応じて、それぞれの強度を示したもの。質量分析器などによって得られる。同位体の存在比の測定や元素分析などに用いる。マス-スペクトル。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

質量スペクトル
しつりょうすぺくとる
mass spectrum

原子や分子はそれぞれ固有の質量をもっている。これらをイオン化し、それらの質量を測定する方法を質量分析といい、このとき生成したイオンの質量mと電荷zの比m/zにしたがって分離し、その相対量を表やグラフの形で表したものを質量スペクトル(マススペクトル)という。正電荷のイオンに関するものを正イオンスペクトル、負電荷のものを負イオンスペクトルとよぶ。質量スペクトルの解析から、もとの物質の原子量、分子量と組成、分子の構造、同位体比などを知ることができ、無機物質や混合物中の微量成分の定性、定量も可能である。スペクトルを得る装置が質量分析計であり、イオン化源、イオンを質量順に分離する分析計、イオン量を検出する検出器、スペクトルに変換する機能などをもっている。[高田健夫]
『田島進・飛田成史著『物質の質量から何がわかるか』(1991・裳華房) ▽山本正夫他編『質量スペクトルデータ集』(1998・日本質量分析学会)』

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