赤光(読み)シャッコウ

デジタル大辞泉 「赤光」の意味・読み・例文・類語

しゃっこう〔シヤククワウ〕【赤光】

斎藤茂吉の第1歌集。大正2年(1913)刊。万葉調の中に近代的情緒をもつ作品歌壇に大きな影響を与えた。

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精選版 日本国語大辞典 「赤光」の意味・読み・例文・類語

しゃっ‐こうシャククヮウ【赤光】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙 赤色の光。赤い輝き。特に、夕方の太陽の赤い光。
    1. [初出の実例]「そのとき赤光西方よりさして寝殿にいたる」(出典:古今著聞集(1254)二)
    2. 「赤光(シャククヮウ)のなかに浮びて棺ひとつ行き遙(はる)けかり野は涯(はて)ならん」(出典:赤光(1913)〈斎藤茂吉〉葬り火)
  2. [ 2 ] 歌集。斎藤茂吉著。大正二年(一九一三)刊。八三四首。作者の第一歌集で、万葉調の中に、たくましい生命力と鋭くはげしい官能を感覚的に歌う。短歌に近代的性格を付与したものとして、作者の声価を確立したもの。

あか‐びかり【赤光】

  1. 〘 名詞 〙 皮膚や物の表面などが、赤く光っていること。赤くてつやのあること。
    1. [初出の実例]「アカヒカリ 赤くて光あるものをいふはいふまでもなくて明らかなり。されども電光雷火などにアカヒカリとは聞かず」(出典:両京俚言考(1868‐70頃))

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改訂新版 世界大百科事典 「赤光」の意味・わかりやすい解説

赤光 (しゃっこう)

斎藤茂吉の第1歌集。1913年(大正2)10月東雲堂書店刊。書名は《仏説阿弥陀経》の一節〈赤色赤光〉による。1905-13年にかけての歌834首を逆年順に収める。21年11月に改選版《赤光》(改訂削除,年代順に改編,760首)を出し,その第3版(1925年8月春陽堂刊)を著者自身定本とした。この歌集出版によって一躍脚光をあび,著者ならびに《アララギ》の歌壇的位置を定めた。伊藤左千夫の指導を経て,独自の稟質(ひんしつ)を現し,とくに〈おくに〉との死別,〈おひろ〉との離別,〈死にたまふ母〉の生母いくとの死別,〈悲報来〉の左千夫の急死などの悲傷事を歌う連作は,万葉調の言葉を用いつつ,相互に強められ,高められて抒情の高揚をみせる。この悲劇的な発想が強烈な生命感に支えられてひたむきな抒情をうちだし,歌壇内外に大きな反響を得た。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「赤光」の意味・わかりやすい解説

赤光(しゃっこう)
しゃっこう

斎藤茂吉の第一歌集。1913年(大正2)10月東雲堂書店刊。05年(明治38)より13年8月に至る834首を逆年代順に収める。改選『赤光』は21年11月東雲堂書店刊(25年8月改選3版、春陽堂刊、これを定本とした)。改選版では年代順に戻し、改作と削除によって760首になった。この歌集は作者の名を一躍有名にし、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)、佐藤春夫をはじめ文壇にも影響を与えた。13年作「おひろ」、「死にたまふ母」(「のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり」)は愛と死を歌ってとりわけ深い生命の悲歌を成就している。初期の作では正岡子規(まさおかしき)を模倣しながら独自の濃厚な世界を示す「地獄極楽図」が注目される。初版混沌(こんとん)と衝迫は、改選版において作品の完成と写実方向への修正に向けられた。

上田三四二

『『赤光』(岩波文庫)』『佐藤佐太郎著『茂吉秀歌 上』(岩波新書)』


赤光(しゃくこう)
しゃくこう

赤光

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百科事典マイペディア 「赤光」の意味・わかりやすい解説

赤光【しゃっこう】

斎藤茂吉の第1歌集。1913年初版発行。1921年の改選版を定本とし760首を収める。根岸派根岸短歌会)の写実を基調として万葉語を駆使,激しい抒情精神をもって近代的な自我を歌いあげている。茂吉の歌壇的地位を確立するとともに広く一般文壇にも反響を呼んだ。
→関連項目アララギ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「赤光」の意味・わかりやすい解説

赤光
しゃっこう

斎藤茂吉の第1歌集。 1905年以降の作歌を収め,13年刊。 21年改選版,25年改選3版を刊行し定本とした。写生を基調としながら万葉風の素朴な健康美と近代人の悲哀寂寥との融合による人間感情の高揚をうたった歌集で,近代歌人としての茂吉の声価を決定した。芥川龍之介らにも大きな影響を与えている。

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