斎藤茂吉の第1歌集。1913年(大正2)10月東雲堂書店刊。書名は《仏説阿弥陀経》の一節〈赤色赤光〉による。1905-13年にかけての歌834首を逆年順に収める。21年11月に改選版《赤光》(改訂削除,年代順に改編,760首)を出し,その第3版(1925年8月春陽堂刊)を著者自身定本とした。この歌集出版によって一躍脚光をあび,著者ならびに《アララギ》の歌壇的位置を定めた。伊藤左千夫の指導を経て,独自の稟質(ひんしつ)を現し,とくに〈おくに〉との死別,〈おひろ〉との離別,〈死にたまふ母〉の生母いくとの死別,〈悲報来〉の左千夫の急死などの悲傷事を歌う連作は,万葉調の言葉を用いつつ,相互に強められ,高められて抒情の高揚をみせる。この悲劇的な発想が強烈な生命感に支えられてひたむきな抒情をうちだし,歌壇内外に大きな反響を得た。
執筆者:藤岡 武雄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
斎藤茂吉の第一歌集。1913年(大正2)10月東雲堂書店刊。05年(明治38)より13年8月に至る834首を逆年代順に収める。改選『赤光』は21年11月東雲堂書店刊(25年8月改選3版、春陽堂刊、これを定本とした)。改選版では年代順に戻し、改作と削除によって760首になった。この歌集は作者の名を一躍有名にし、芥川龍之介(あくたがわりゅうのすけ)、佐藤春夫をはじめ文壇にも影響を与えた。13年作「おひろ」、「死にたまふ母」(「のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳根(たらちね)の母は死にたまふなり」)は愛と死を歌ってとりわけ深い生命の悲歌を成就している。初期の作では正岡子規(まさおかしき)を模倣しながら独自の濃厚な世界を示す「地獄極楽図」が注目される。初版の混沌(こんとん)と衝迫は、改選版において作品の完成と写実方向への修正に向けられた。
[上田三四二]
『『赤光』(岩波文庫)』▽『佐藤佐太郎著『茂吉秀歌 上』(岩波新書)』
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