農地の流動化の促進だけでなく、効率的かつ安定的な農業経営(経営体)の育成を目ざし、1993年(平成5)に制定された法律(昭和55年法律第65号)。この法律は、1992年に農林水産省が発表した「新しい食料・農業・農村政策の方向」を受けて、1980年(昭和55)に制定された農用地利用増進法を全面的に改正し、改題したものである。そのねらいは効率的かつ安定的な農業経営が農業生産の大部分を担うような農業構造を確立することにある。
それを推進するのが認定農業者制度である。同制度は、農業経営の改善に取り組む者が、5年後の経営改善目標などを記載した農業経営改善計画を作成し、市町村等が認定を行うものであり、同計画の認定を受けた農業者(認定農業者)に対して農地の集積・集約を進め、税制上の優遇措置や日本政策金融公庫による低利融資などの措置を講じるものである。また、新規就農者(農業経営を開始してから5年以内の者を含み、認定農業者を除く)に対しては、農業経営の開始から5年後の経営の目標を記載した青年等就農計画を作成し、それを市町村が認定し、支援措置を講じる認定新規就農者制度も用意されている。
その後、農業者の高齢化・人口減少が本格化するなか、2022年(令和4)に大きな改正が行われ、地域の農業を担う者を幅広く確保し、育成する方針が打ち出され、従来の「人・農地プラン」が「農業経営基盤の強化の促進に関する計画(地域計画)」として法定化された。「人・農地プラン」では認定農業者などの担い手だけが中心経営体として位置づけられていたが、「地域計画」でいう農業を担う者には多様な経営体(継続的に農用地利用を行う中小規模の経営体、農業を副業的に営む経営体など)も含まれるようになったことが大きな変化である。
地域での話し合い(協議)に基づいて地域計画を定め、地域の農業の10年後のあり方や目ざすべき10年後の農用地利用の姿を示した「目標地図(農業を担う者ごとに利用する農用地などを定め、これを地図に表示したもの)」を作成し、その実現に向けて取り組むことになった。
また、農地の集積・集約を進める場合の農用地の利用権設定などは農地中間管理機構(農地バンク)による農地中間管理事業を通じて行われることになった。さらに農用地利用集積計画の公告による利用権設定という仕組みはなくなり、新たに農用地利用集積等促進計画を農地バンクが作成し、それを都道府県知事が公告するという仕組みになった。だが、実際の農地賃貸借は地域での協議によって策定された地域計画を反映することとされた。
[安藤光義 2025年10月21日]
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[農地賃貸借への農水省の対応]
1970年の農地法改正は,農地法外の農地賃貸借の上述のような性格をふまえ,それを法制化し,促進することを狙ったものであるが,すでに述べたように,その意図は十分には実現しなかった。農林水産省は,その後農地法とは別の法律のもとで,農地賃貸借がしやすい事業(農用地利用増進事業,1975発足)と制度(農用地利用増進法,1980制定,農業経営基盤強化促進法に1993改正)を整え,農協の受託農業経営事業もこの制度に吸収される。従来の請負耕作は,正規の制度のもとで進展しうる条件ができたのであるが,これに併せて法律と実態の間隙を埋める事業としての性格を有した農協の受託農業経営事業は,その意義を大幅に減じている。…
※「農業経営基盤強化促進法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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