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連帯債務 れんたいさいむGesamtschuld

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

連帯債務
れんたいさいむ
Gesamtschuld

2人以上の債務者が各自独立に全部の履行をすべき債務を負担し,しかも1人が履行すれば全員がその債務を免れる債務 (民法 432) 。当事者間の契約または遺言の意思表示または法律の規定 (民法 761,商法 80,511など) によって成立する。法律上,1個の債務を数人が負担するのではなく,数人が独立した数個 (債務者の人数分) の債務を負担するのであるが,各債務者間になんらかの主観的共同の目的があり,互いの債務に関連があることに基づいて,債務者の1人について生じた事由が,一定の範囲で他の者に効力 (絶対的効力) を及ぼす。弁済,代物弁済,供託,相殺,受領遅滞,履行の請求,更改,免除,混同,時効完成などがそれであるが,上記以外の事由 (請求以外の時効中断,債務者の1人の不履行など) は他の者に影響を及ぼさない。連帯債務は内部関係において各自の負担部分が定まっており,ある者の出捐によって債務を免れた他の債務者は,自己の負担部分に応じて出捐者の求償に応じなければならない。

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デジタル大辞泉の解説

れんたい‐さいむ【連帯債務】

複数の債務者が、同一内容の給付について各自独立に債権者に対して全部の給付をする義務を負い、その中の一人が弁済すれば、他の債務者も債務を免れる債務。

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百科事典マイペディアの解説

連帯債務【れんたいさいむ】

数人の債務者が,同一の内容の給付について,各自独立に全部の弁済をなすべき債務を負担し,そのうちの1人が弁済すれば他の債務者もことごとく債務を免れる債務関係(民法432条以下)。

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不動産用語辞典の解説

連帯債務

同一債務について、複数の債務者が債務の全てをそれぞれ負担する方法のことを「連帯債務」といいます。
そのため、債権者はどの債務者に対しても債権の支払いを請求することができますが、一人が債務を全て支払った場合には、全ての債務者の債務が消滅します。

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世界大百科事典 第2版の解説

れんたいさいむ【連帯債務】

たとえば,A,B,Cの3人がDから900万円借りて,その返済について連帯債務を負うと,A,B,Cは各自独立に900万円をDに支払わなければならず,A,B,Cのいずれかが900万円を支払うと,他の者も債務を免れる。このように,数人の債務者が同一内容の給付について各自独立に全部の給付をなす義務を負い,その中の1人が弁済すれば他の者も債務を免れる多数当事者の債務を連帯債務という。数人の者が連帯債務を負うと,各自はそれぞれ債務の全部について給付義務を負うから,債務者の中に1人でも弁済する資力のある者がいれば,債権者としては債権の十分な弁済を受けることができる。

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大辞林 第三版の解説

れんたいさいむ【連帯債務】

同一内容の給付について、複数の者がそれぞれ独立して全部を給付する義務を負うが、その中の一人が給付を実現すれば他の者も給付の義務を免れる債務。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

連帯債務
れんたいさいむ

数人の債務者が、同一内容の給付について各自独立に全部の給付をなす義務を負い、そのうちの1人の給付があれば、他の債務者も債務を免れる多数当事者の債務、と定義される(民法432条~445条)。連帯責任ということもあるが、正確な呼び方ではない。たとえば、甲、乙、丙の3人が丁から90万円を借り、その返済について連帯債務を負うと、甲、乙、丙は、各自独立に90万円を丁に支払わなければならず、甲、乙、丙のいずれかが90万円を支払うと、他の者も債務を免れることになる。このように連帯債務では、複数の債務者がそれぞれ債務の分割された一部ではなく、全部について給付義務を負うから、債務者のなかに1人でも資力のある者がいれば、債権者は、債権の十分な弁済を受けることができる。したがって、連帯債務は人的な債権担保手段であるといえる。[淡路剛久]

類似の制度との比較

連帯債務を、債務の帰属形式――すなわち数人の債務者が各自独立に全部の給付義務を負うという法形式――からみると、いくつかの制度と同じになるので、それらとの違いが問題となる。たとえば連帯保証は、連帯債務と類似する。しかし、連帯保証は保証の一種であって付従性を有する(主たる債務が存在しなければ、連帯保証債務も存在しない)点で、連帯債務と区別される。不可分債務も、各債務者が全部の給付義務を負う点で連帯債務と類似する。しかし、それは、連帯債務と違って、給付が性質上または意思表示により不可分だからであり、その効力も民法第434条ないし第439条の絶対的効力を生じない点で、連帯債務と異なる。不真正連帯債務の場合にも、連帯債務と同様の関係が生じる。たとえば、使用者責任の場合、被用者は民法第709条により、使用者は民法第715条により、それぞれ全部賠償義務を負い、いずれかの履行があれば、他の者は債務を免れる。この点、連帯債務とまったく同一である。しかし、不真正連帯債務の場合には、債務者間に主観的共同関係がなく、したがって、民法第434条の絶対的効力が生じない点で、連帯債務とは違う、とされる。[淡路剛久]

発生原因

民法は多数当事者の債務の原則を分割債務とした(427条)。したがって、連帯の意思表示(契約、遺言)があるか、連帯とする旨の法律の規定(たとえば、民法44条2項・761条、商法511条1項など)がある場合に、連帯債務が生じることになる。[淡路剛久]

対外的効力

債権者は、連帯債務者の1人に対し、または同時もしくは順次に総債務者に対し、全部または一部の履行を請求することができる(民法432条)。この点が債権担保手段としての連帯債務の中心的な効力である。連帯債務者の1人について弁済およびこれと同視すべき事由(たとえば、代物弁済・供託)が生じた場合には、他の債務者も債務を免れる。そのほか、一定の事由(同法434条~439条)は、他の債務者にも効力を及ぼす、いわゆる絶対的効力を生ずる。すなわち、連帯債務者の1人に対する請求は他の債務者に対してもその効力を生じ、連帯債務者の1人と債権者との間に更改、相殺、混同があった場合には、他の債務者も債務を免れ、連帯債務者の1人に対して免除がなされ、あるいは連帯債務者の1人のために時効が完成した場合には、その債務者の負担部分につき他の債務者も債務を免れる。たとえば、前例の甲、乙、丙の負担部分をそれぞれ30万円ずつとした場合、甲に対して免除し、あるいは甲について時効が完成すると、乙、丙の債務は60万円となる。なお、以上のように絶対的効力事由の広い連帯債務を講学上、共同連帯とよんでいる(その反対を単純連帯という)。[淡路剛久]

対内的効力

連帯債務者の1人が、自分の出捐(しゅつえん)(他人に財産上の利益を与えること)で総債務者の共同の免責を得たときには、他の債務者に対しその負担部分に応じて求償することができる(民法442条1項)。たとえば、前例で甲が90万円弁済した場合には、乙、丙からそれぞれ30万円ずつ求償できる。負担部分は、第一次的には連帯債務者間の特約によって定まり、特約がないときには連帯債務を負担することによって受けた利益の割合に従い、それもまた不明であるときには平等の割合とされる。[淡路剛久]

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