連署(鎌倉幕府の職名)(読み)れんしょ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「連署(鎌倉幕府の職名)」の意味・わかりやすい解説

連署(鎌倉幕府の職名)
れんしょ

本来は文書(もんじょ)に複数の者が署名・押判(おうはん)する行為を意味するが、転じて鎌倉幕府の職名となった。鎌倉幕府の連署は、執権(しっけん)を補佐して政務を行い、公文書に執権と並んで署判(しょはん)を加えるところから、このように称せられ、執権を含めて両執権、両後見などともよばれた。普通、1225年(嘉禄1)6、7月に大江広元(おおえのひろもと)、北条政子(まさこ)が相次いで没したのち、執権北条泰時(やすとき)が叔父時房(ときふさ)をこの職に迎えたのが最初とされるが、早く1216、17年(建保4、5)ごろ広元が執権北条義時(よしとき)と並ぶ地位についており、連署制の先蹤(せんしょう)はここに求めるべきである。時房以後は代々北条氏一門の有力者が就任(ときに欠員あり)、なかには執権に進んだ者もあったが、時宗(ときむね)を例外として得宗(とくそう)(北条氏宗家の家督)が連署になったことはない。

[杉橋隆夫]

『上横手雅敬著『日本中世政治史研究』(1970・塙書房)』『杉橋隆夫著『鎌倉執権政治の成立過程』(御家人制研究会編『御家人制の研究』所収・1981・吉川弘文館)』

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