( ②について ) ( 1 )書札礼(しょさつれい)において注目され、土岐利綱「家中竹馬記」(一五一一)、伊勢貞頼「宗五大草紙‐書札之事」(一五二八)等の故実書に、連判の形式についての言及が見える。いずれも書面の奥に上位者の署名、判(上判)を記すべきとする。
( 2 )元和年間(一六一五‐二四)成立の曾我尚祐「和簡礼経‐五」は、「連署」と「連判」を区別し、判形が表にあれば「連判」、判形がなかったり、裏にあったりする場合は「連署」と言うべきであるとする。同書は、また、宛所が多ければ「連署」、判形が多ければ「連判」と言うとする説を挙げ、これは適当な区分ではないとしている。
( 3 )書札礼では、連判は上位者・下位者の判の順が問題とされているが、「傘連判(からかされんばん)」は、逆に、中心人物・上位者を明らかにせず、平等を旨として放射状に連判をなす形式で、室町時代の武士の一揆の契約状や、近世の農民の訴状などに見られる。
1通の文書に2名以上の者が連名で署名をし,花押あるいは印を据えること。〈れんばん〉とも読む。類似の語に連署があるが,これは必ずしも花押・印を伴わず署名のみのときにも用いられる。また連署の呼称は奈良時代より見え,近世に及ぶが,連判は主として中世以後用いられた。連判をする人が少ないときは同一線上に連ねるが,多人数のとき,また文書によって上下2段に分けて書かれる。2段書きの例としては,平安後期の政所下文(くだしぶみ)や院庁下文にみえ,別当より四位以上の家司は上段に,五位以下の者は下段に署名する。中世文書では武家の下文,御教書(みぎようしよ),下知状(げちじよう),奉書などにおいて,2人以上の奉者が連判するのが普通で,江戸幕府の老中奉書なども同様である。いずれもあて名に近いほうが上位者である。近世においておおぜいの百姓が連判のうえ,上申する文書が多くみうけられるが,特異な文書としては中世・近世における傘連判(からかされんばん)がある。
執筆者:高橋 正彦
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