化学式CaO。生石灰quick limeともいう。水酸化カルシウム,硝酸カルシウム,シュウ酸カルシウムなどを強熱して得られ,工業的には石灰石(炭酸カルシウム)を900~1000℃に熱して製造される。白色の結晶性粉末で,Ca2⁺とO2⁻とがNaCl型の格子を作っているイオン性化合物である。融点(2572℃),沸点(2850℃)がきわめて高く,比重3.37。水と反応すると強く発熱し,水酸化カルシウムCa(OH)2(消石灰)に変化する。
CaO+H2O─→Ca(OH)2+15.2kcal
二酸化炭素とも容易に反応して,炭酸カルシウムCaCO3になる。これらの性質,反応を利用して,実験室ではアンモニアやアルコールの乾燥剤とし,また工業的には,消石灰(およびそれから製造される〈しっくい〉,モルタルなどの建築材料),カーバイド,ガラス,土壌改良剤などの原料として,また炉,るつぼの内張り用耐熱材として大量に用いられる。
執筆者:曽根 興三
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CaO(56.08).生石灰ともいう.石灰石やカルシウムの炭酸塩,水酸化物,硝酸塩を強熱して得られる.白色の粉末.融点2572 ℃,沸点2850 ℃.密度3.37 g cm-3.水とは高熱を発して反応して水酸化カルシウムを生じる.二酸化炭素を吸収して炭酸カルシウムとなる.乾燥剤,脱水剤,土壌中和剤としてそのまま用いられるほか,炉剤,しっくい,モルタル,消石灰,さらし粉,セッコウ,カーバイト,カルシウム塩などの原材料や石灰擦剤として医療用に用いられる.[CAS 1305-78-8]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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