改訂新版 世界大百科事典 「醒井」の意味・わかりやすい解説
醒井 (さめがい)
近江国(滋賀県)坂田郡南部の宿駅。古くより清水で有名で,日本武尊が伊吹山で熱病にかかった際,この清水で体を冷やしたという伝説がある。東山道・中山道の街道ぞいに位置し,宿駅として繁栄した。中世,《東関紀行》や《十六夜日記》の著者も足を止め,清水について書きとめている。江戸時代の1843年(天保14)当時,宿場の町並み8町2間,人口539人,家数138軒,本陣・脇本陣各1軒,旅籠11軒が存在していた(〈宿村大概帳〉)。宿場内には四石三水と称する名石名水や西行法師ゆかりの泡子塚がある。また宿駅名物としては醒井餅の名が残っている。1900年国鉄東海道本線の敷設にともない醒ヶ井駅ができた。67年米原町(現,米原市)に合併。現在は国道21号線と名神高速道路が旧街道筋をはさむようにして並行している。
執筆者:江竜 喜之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報