伊吹山(読み)いぶきやま

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

滋賀県と岐阜県にある伊吹山地主峰滋賀県米原市岐阜揖斐川町にまたがる。標高 1377m。全山がほとんど石灰岩よりなる。多様な動植物や先史遺跡など,学術上の価値が高い。3合目以上は草地で,寒暖両系の植物に富み,薬草も多く,伊吹もぐさを産する。日本武尊伝説をもち,奈良時代の開創になる伊吹四ヵ寺跡,京極氏の居城址上平寺や太平寺などがある。1918年山頂測候所が開設され,高山気象や航空気象の観測に重要な役割を果たしたが,2001年閉鎖された。夏の登山,冬のスキーも盛ん。岐阜県関ヶ原町から山頂までは伊吹山ドライブウェイが通じる。岐阜県内となる山麓東側は伊吹県立自然公園に属し,山頂付近や山麓西側の滋賀県内は琵琶湖国定公園に属する。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

標高1377メートル。2003年に高山植物固有種が「山頂草原植物群落」として国の天然記念物に指定された。今年5月から、植物保全などを目的に入山協力金(1人300円)を求めている。ドライブウェイが1965年に全線開通し、昨年(4~11月)の利用者は約24万6千人。

(2014-09-21 朝日新聞 朝刊 2社会)

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百科事典マイペディアの解説

岐阜,滋賀県境,伊吹山地南端の山。標高1377m。全山石灰岩からなり,山麓にセメント工場が立地する。奈良時代以前から荒ぶる神の支配する山として知られ,日本武尊(やまとたけるのみこと)もこの山で落命したという。平安時代には薬師念仏が行われ,中世には修験(しゅげん)の行場となった。大部分が草地で伊吹百草の名があり,薬草や特産種の植物が生育,江戸期には薬草園があった。南西斜面はスキー場となり,琵琶湖国定公園に属し,ドライブウェーも通じる。
→関連項目伊吹[町]コゴメグサ関ヶ原[町]日本百名山

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世界大百科事典 第2版の解説

滋賀県と岐阜県の県境を南北にのびる伊吹山地の主峰で,標高1379m。地質は古生代石灰岩よりなり,山麓の古生層は石灰岩が少ない。その地質構造は,巨大な石灰岩が低角度の衝上面で石灰岩の少ない古生層の上に衝上したものとされていたが,褶曲に衝上を伴ったものであることがわかった。伊吹山の西側と南側には敦賀湾‐伊勢湾構造線の一部である柳ヶ瀬断層が通って,地塁山地をなし,西側を姉川が刻み,南側は関ヶ原地峡部に対して伊吹山断層崖が臨んでいる。

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大辞林 第三版の解説

滋賀県と岐阜県の境にある山。伊吹山地の主峰。海抜1377メートル。全山ほとんど石灰岩。薬草や高山植物に富む。歌枕 あぢきなや伊吹の山のさしも草おのがおもひに身をこがしつつ/古今六帖 6

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

滋賀県米原市(まいばらし)と岐阜県揖斐(いび)郡揖斐川町との境界にある山。膽吹山、伊富貴山、伊服(夫)岐山、夷服岐山などとも書く。伊吹山地の主峰。標高1377メートル。古くから信仰を集めた霊峰で、奈良時代に役行者(えんのぎょうじゃ)によって山岳仏教の聖地として開かれたという。平安時代には七高山の一つに数えられた。周辺に伊吹山寺、式内社伊夫岐神社などがある。古来、歌枕(うたまくら)としても有名で、藤原実方(さねかた)の「かくとだにえやは伊吹のさしも草さしも知らじな燃ゆる思ひを」(『後拾遺集』『小倉百人一首』)はよく知られる。また日本武尊(やまとたけるのみこと)の伝説もある。山麓(さんろく)は針葉樹林や広葉樹林で覆われるが、三合目以上は草地で1700種類もの植物がみられる。織田信長はポルトガルの宣教師に薬草園を開かせたという。実方の詠んだ「さしも草」も薬草で、江戸時代には山麓の中山道(なかせんどう)柏原(かしわばら)宿で「伊吹もぐさ」を売り、全国的に知られた。植物だけでなく動物や先史遺跡など学術上の価値も高い。琵琶湖国定公園(びわここくていこうえん)に属す。JR東海道本線近江(おうみ)長岡駅から登山口までバスが通じ、また関ヶ原から山頂までのドライブウェーを利用して訪れる人は多い。大垣駅、関ヶ原駅から山頂までの直行バスも運行している。山頂部にはみろく石像、日本武尊石像がある。山麓には石灰岩を原料とするセメント工場があり、中腹の上野には民宿が多い。[高橋誠一]

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精選版 日本国語大辞典の解説

(「古事記」から見える山の名。山頂にかかる雲を青気を含む山神の息に見たてたともいわれる) 滋賀・岐阜県境にある伊吹山地の主峰。日本武尊が東征の帰途、あらぶる神のたたりを受けたという伝説がある。高山植物、薬草が豊富。標高一三七七メートル。

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世界大百科事典内の伊吹山の言及

【竹生島】より

…【井戸 庄三】
[信仰]
 竹生島の生成には次のような話がある。昔,伊吹山に多多美彦(たたみひこ)命(夷服岳(いぶきのたけ)神),久恵(くえ)の峰に姉の比佐志姫(ひさしひめ)命,浅井の岡に姪の浅井姫命がいた。あるとき夷服岳と浅井の岡が背くらべをし,浅井の岡が一夜のうちに高くなったので,夷服岳神が立腹し浅井姫を切り殺してしまった。…

※「伊吹山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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