野田(市)(読み)のだ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「野田(市)」の意味・わかりやすい解説

野田(市)
のだ

千葉県北西部にある市。利根(とね)川と江戸川に挟まれた下総(しもうさ)台地上に位置する。1950年(昭和25)野田町と旭(あさひ)、七福(ななふく)、梅郷(うめさと)の3村が合併して市制施行。1957年川間(かわま)、福田の2村を編入。2003年(平成15)関宿町(せきやどまち)を編入。地名は広い原野に水田が開かれたことに由来する。市域の中央部から東武鉄道野田線と国道16号が南下する。平安時代末、下河辺荘(しもこうべのしょう)に属し、中世関宿城主簗田氏(やなだうじ)に支配され、江戸時代は幕府直轄地、旗本領地となった。江戸川水運が盛んになると原料、製品の集散が容易になり、しょうゆ醸造が本格化し、1781年(天明1)には野田醤油(しょうゆ)仲間が成立、江戸における地位を高めた。明治時代以後もしょうゆ工業によって発展を遂げ、現在は全国有数の生産量を誇る。第二次世界大戦後の高度成長期には複数の内陸工業団地が造成され、住宅地開発も進展した。ホウレンソウダイコンサトイモなどの近郊農業も行われる。清水(しみず)公園はサクラツツジ名所で、遊園地フィールドアスレチック釣り堀が併設されている。隣接地に小金牧(こがねのまき)の牧士(もくし)の居宅であった旧花野井(はなのい)家住宅が移築されており、国の重要文化財に指定されている。ほかに野田市郷土博物館やしょうゆ醸造会社の資料館、県無形民俗文化財のばっぱか獅子舞(ししまい)や、神輿(みこし)ごと泥の中に飛び込む奇祭の泥祭りなどがある。面積103.55平方キロメートル、人口15万2638(2020)。

[山村順次]

『佐藤真著『野田郷土史』(1980・歴史図書社)』


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