金剛輪寺(読み)コンゴウリンジ

デジタル大辞泉 「金剛輪寺」の意味・読み・例文・類語

こんごうりん‐じ〔コンガウリン‐〕【金剛輪寺】

滋賀県愛知えち愛荘あいしょう松尾寺にある天台宗の寺。山号は松峰山。天平13年(741)行基開創と伝える。嘉祥年間(848~851)円仁中興台密道場となる。百済寺西明寺とともに天台湖東三山の一。本堂国宝、仁天門・三重塔などは重文。松尾寺。

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精選版 日本国語大辞典 「金剛輪寺」の意味・読み・例文・類語

こんごうりん‐じコンガウ‥【金剛輪寺】

  1. 滋賀県愛知郡秦荘町にある天台宗の寺。山号は松峰山。天平一三年(七四一聖武天皇勅願により行基(ぎょうき)が創建。のち円仁(えんにん)(=慈覚大師)が中興。本堂は正応元年(一二八八)造立の天台様式の建築で国宝。俗称松尾寺。

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日本歴史地名大系 「金剛輪寺」の解説

金剛輪寺
こんごうりんじ

[現在地名]秦荘町松尾寺

湖東三山の中央に位置し、松峯山と号し、天台宗。本尊聖観音。一名松尾まつお寺ともよばれる。

〈近江・若狭・越前寺院神社大事典〉

〔開創〕

寺伝によれば、聖武天皇の勅願により天平年間(七二九―七四九)行基が開いたという。行基自刻の本尊木造聖観音菩薩像(県指定文化財)秘仏とされ、「生身の御本尊」とよばれる。行基が彫刀を進めると、木肌から赤い血が流れ出て生身のようであったので、刀を擲ち、下半身を白布で覆ったという伝承がある。当地域は古代に雄族秦氏が居住していたところであった。寺蔵の宝亀五年(七七四)の大般若経奥書に「秦正月麿書写」とある。また、旧蔵の金銅聖観音像(現ボストン美術館蔵)の文永六年(一二六九)の銘文に「近江国依智郡之内松尾寺本堂奉安置之右志者、為願主犬上利吉並芳縁依智秦氏子孫繁昌現世安穏」とあり、金剛輪寺と秦氏に密接な関係があったことが想像できる。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「金剛輪寺」の意味・わかりやすい解説

金剛輪寺
こんごうりんじ

滋賀県愛知(えち)郡愛荘(あいしょう)町松尾寺(まつおじ)にある天台宗の寺。山号は松峰山(しょうぶさん)。通称松尾寺。西明(さいみょう)寺、百済(ひゃくさい)寺とともに天台の湖東三山の一つ。近江(おうみ)西国第15番札所。741年(天平13)聖武(しょうむ)天皇の勅願により行基(ぎょうき)が開創したと伝える。本尊聖観世音(しょうかんぜおん)は行基の作と伝える秘仏。嘉祥(かしょう)年間(848~851)慈覚大師円仁(えんにん)が登山して中興、天台宗となり学僧が参集したという。弘安(こうあん)の役(1281)に近江守護佐々木頼綱(よりつな)が戦勝を祈願し、役後に現在の本堂大悲閣(国宝)を建立した。確認される坊舎跡は80以上にも及び、盛時は大寺院であったが、1571年(元亀2)織田信長の兵火でほとんどの寺塔を焼失、その後、徳川家康、彦根(ひこね)藩主井伊直孝(なおたか)などにより復興された。三重塔(待龍塔)、仁天門、大行社本殿のほか、鎌倉初期の阿弥陀(あみだ)仏像など12体および銅磐(どうばん)が国の重要文化財に指定されている。桃山から江戸時代にかけての池泉回遊式庭園は近江路の名園として知られる。

[田村晃祐]


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改訂新版 世界大百科事典 「金剛輪寺」の意味・わかりやすい解説

金剛輪寺 (こんごうりんじ)

滋賀県愛知郡愛荘町にある天台宗の寺。山号は松峯山。741年(天平13)行基の開創と伝え,嘉祥(848-51)のころ円仁が台密の道場として再興した。また建武のころ(1334-36)天台宗の穴太(あのう)流の別れである西山流の道場として栄えた。湖東三山の一つで,国宝の本堂大悲閣は,1288年(正応1)佐々木頼綱が再建し,重要文化財の二天門や三重塔のほか,藤原期の仏像もある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「金剛輪寺」の意味・わかりやすい解説

金剛輪寺
こんごうりんじ

滋賀県中東部,愛荘町にある寺。行基の開基と伝えられ,のちに円仁 (慈覚大師) が天台宗の密教化をはかり再興したといわれる。西明寺,百済寺とともに湖東三山の一つとして栄えた。本堂は弘安 11 (1288) 年の造立。鎌倉時代の仏像数体を収めた和様の代表的密教本堂で,国宝に指定されている。

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デジタル大辞泉プラス 「金剛輪寺」の解説

金剛輪寺

滋賀県愛知郡愛荘町にある寺院。天台宗。山号は松峰(しょうぶ)山。通称「松尾寺」。741年、行基による開創と伝わる。円仁により中興。本尊は聖観世音菩薩。国宝の本堂など多くの文化財を保有。庭園は国の名勝に指定。

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事典・日本の観光資源 「金剛輪寺」の解説

金剛輪寺

(滋賀県愛知郡愛荘町)
湖国百選 社/寺編」指定の観光名所。

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