日本大百科全書(ニッポニカ) 「金峯神社(奈良県)」の意味・わかりやすい解説
金峯神社(奈良県)
きんぶじんじゃ
奈良県吉野郡吉野町吉野山の最奥に鎮座する神社。祭神は金山毘古神(かなやまびこのかみ)。金精明神(こんせいみょうじん)、金山明神とも称する。吉野山の地主神、黄金守護神ともいわれる古社で、創祀(そうし)は不詳。この山は全山黄金といわれて大仏鋳造の際に金鉱を求めたと伝えられ、また古くは金峯山(きんぶせん)修験(しゅげん)の道場であり、多くの堂坊の跡がいまに残されている。『延喜式(えんぎしき)』の名神(みょうじん)大社で、月次(つきなみ)、相嘗(あいなめ)、新嘗(にいなめ)の祭りにあずかる。旧郷社。例祭は10月17日。社宝に金銅藤原道長経筒(国宝)、鉄鐔卒塔婆透シ(てったんそとばすかし)(国の重要文化財)のほか、経塚出土品として一括国重要文化財指定の鍍金(ときん)経箱がある。
[菟田俊彦]