デジタル大辞泉
「鉦」の意味・読み・例文・類語
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しょうシャウ【鉦】
- 〘 名詞 〙
- ① 中国、日本、東南アジアなどで用いられる打楽器。銅、またはその合金で作られた平たい円盤状のもの。撞木(しゅもく)または桴(ばち)で打って鳴らす。雅楽器の鉦鼓(しょうこ)、下座音楽に用いる摺鉦(すりがね)、念仏踊りや御詠歌の伴奏に用いる伏鉦(ふせがね)、たたきがね、祭礼囃子(ばやし)などに使うちゃんぎりなどがある。中国では主として軍楽用。日本では一般には「かね」という。鉦鼓。
- [初出の実例]「鉦五面状」(出典:正倉院文書‐天平六年(734)出雲国計会帳)
- ② 古代の武具の一つ。金属製で、これをたたいて兵を指揮し、その士気を鼓舞したもの。
- ③ 仏具の一種。念仏、読経などのとき、撞木(しゅもく)でたたくかね。伏鉦(ふせがね)。鉦鼓。たたきがね。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
普及版 字通
「鉦」の読み・字形・画数・意味
鉦
13画
[字音] ショウ(シャウ)
[字訓] かね・どら
[説文解字]
[金文]
[字形] 形声
声符は正(しよう)。〔説文〕十四上に「鐃(だう)なり。鈴に似て中(中空)、上下ず」とあり、また丁寧(ていねい)ともいう。鉦・鐃・丁寧は、いずれもその撃つ音より名をえたものであろう。〔周礼、地官、鼓人〕に鐸・鐃を用いることをしるしているが、鐃は殷器、鉦は列国の器である。殷器の鐃には巨大なものが多く、江南の諸族と境を接する山中に、東西にわたって埋蔵するものが出土しており、呪鎮としての性格をもつものであったらしい。南方族の古銅鼓も、またその地帯にそって埋蔵されていたと考えられる。鉦は形制はなはだ小。〔周礼〕にいうように、軍行に用いた楽器であろう。鉦と鐃とは器制はなはだ異なるものであるが、鉦を用いたらしい軍歌を鼓吹鐃歌という。鼓吹歌は北方族より移入したもので、用いた器はドラ形式のものであろうと思われる。
[訓義]
1. かね、どら。
2. 鐘の正面のうつところ。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕鉦 フリツツミ・ヱル/鉦鼓 俗に云ふ、シヤウコ 〔字鏡集〕鉦 フリツツミ・クキ・ヱル
[語系]
鉦tjieng、(鐘)tjiongは声義近く、その音より名をえたものであろう。丁(寧)tyeng-nyengも同じ。またdeong、舂sjiong、衝thjiongはみな衝(つ)くこと、衝くことによって音を発する意をもつ。同系の語と考えてよい。
[熟語]
鉦鼓▶・鉦人▶・鉦鐸▶・鉦鐃▶・鉦▶
[下接語]
暁鉦・撃鉦・懸鉦・鼓鉦・戍鉦・小鉦・声鉦・銅鉦・鳴鉦
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鉦
しょう
東アジアの体鳴楽器。金属製の皿状の楽器で,皿の底部の外側または内側を1本または2本の槌で打奏する。原則として皿の縁を打たない点で「鐘 (しょう) 」と区別される。なお,皿の肉が薄く,鍛造を加えた「鑼 (ら) 」とは区別される。楽器本体および槌の寸法や,細部の形状はまちまちで,演奏に際しても紐で吊るもの,手に持つもの,床の上に直接伏せて置くものなどがある。この楽器は中国では軍楽に用いられたというが,日本では「鉦鼓」の名で雅楽や仏教に用いられるほか,民俗的な念仏や祭礼囃子などでも用いられる。普通には「鐘」との区別なしに「かね」と呼ばれることが多い。また,歌舞伎の陰囃子でも,祭りの場面やにぎやかな踊りの伴奏などに使われる。祭礼囃子では,ヨスケ,チャンギリなどともいい,またコンチキの名を用いる場合もある。
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鉦【かね】
日本の肉厚のゴング。平円板の周辺を折り返した縁がさらに外側に折り返されて平らな縁をなす。この本体を槌などで打つ。風流系の芸能などに広く用いられ,紐を付けて左手で下げて右手のバチで打つのを当り鉦,下げ鉦と呼び,手のひらに持って凹面の中を横に摺って打つのを摺り鉦,つかみ鉦と呼ぶ。
→関連項目田植
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世界大百科事典(旧版)内の鉦の言及
【青銅器】より
…飯類を入れる,口の少しすぼまったはち(簋(き)),同様な用途の深い鉢形の容器(盂(う))も多くはないが青銅製のものが作られ出す。楽器としては槌でたたく柄付きの小さなかね(鉦(しよう))がある。3~5個がセットになり,簡単な音階をなす。…
※「鉦」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」