デジタル大辞泉
「鍛」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
きた・う きたふ【鍛】
[1] 〘他ハ四〙
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)二「
真金あり。鎔
(キタ)ひ銷
(け)し冶
(う)ち錬
(ねや)す」
※
太平記(14C後)三二「三の真国
(さねくに)と云ふ
鍛冶、〈略〉きたうたる剣なり」
※春迺屋漫筆(1891)〈
坪内逍遙〉政界叢話「人皆知れり。其海にむかひて多年弁論の術を鍛
(キタ)ひし事も」
きた・える きたへる【鍛】
〘他ア下一(ハ下一)〙 きた・ふ 〘他ハ下二〙 (古くは
四段活用。→
鍛う)
① 熱した金属をくり返し、打ったり
液体でひやしたりして、良質のものにする。鍛錬する。
※幼学読本(1887)〈西邨貞〉二「金をきたふるには、先づ其の金を強き
炭火の中に入れて赤くやき」
※
人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)五「
放埒のなき様によくきたへて下さるならば」
※
洒落本・
南閨雑話(1773)馴染の体「やかましくきたへずとも、早く汲でくれろよ」
きたえ きたへ【鍛】
① 特に
日本刀の鍛錬法。鉄を
化学反応を起こさせて良質にすることで、
玉鋼(たまはがね)を熱し、打ち、折りまげなどをくり返すこと。大別して古代に用いられた丸鍛えと合わせ鍛えの二法がある。鍛刀法。
※真景累ケ淵(1869頃)〈三遊亭円朝〉九二「古い鎌だが、鍛(キテエ)が宜(い)いと見えて」
② くり返し修練して技術を身につけたり、身心を強くしたりすること。
※落語・金の味(1892)〈三代目三遊亭円遊〉「昔の人は身体(からだ)の鍛へが好(いい)と云ふんだ」
かたし【鍛】
〘名〙 (動詞「かたす(鍛)」の連用形の名詞化)
① きたえること。
② 鍛冶を職業とする人。鍛冶屋。
※雅言考(1849頃)かたし「鎔師(カタシ)の義にて、鋳物師(いものし)の事をいふ。三代実録十八に、加太之とあるは、銭を鋳ことなり」
かた・す【鍛】
〘他サ四〙 鉄などをきたえて刀剣などをつくる。きたえる。
※書紀(720)神代下(鴨脚本訓)「弟患へて、即ち、其の横刀(たち)を以て新しき鉤を鍛作(カタシ)て、一箕(ひとみ)に盛りて与ふ」
きたい きたひ【鍛】
〘名〙 (動詞「きたう(鍛)」の連用形の名詞化) =
きたえ(鍛)※人情本・風俗粋好伝(1825)前「何様(どう)しても昔者の鍛(キタ)ひが善く」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報