雄冬岬(読み)オフユミサキ

デジタル大辞泉 「雄冬岬」の意味・読み・例文・類語

おふゆ‐みさき〔をふゆ‐〕【雄冬岬】

北海道石狩市にある岬。日本海に突き出した断崖の中にあり、展望台公園も整備されている。

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日本歴史地名大系 「雄冬岬」の解説

雄冬岬
おふゆみさき

現町域の最北部で日本海に突出する岬。岬を中心に一帯暑寒別しよかんべつ(一四九一・四メートル)などの増毛ましけ山地が日本海に落込み、断崖を形成する航海難所として知られる。「蝦夷巡覧筆記」に「ヲフイ崎」とみえ、「此所大岩石山崎海ヨリ切立、木所々ニ有リ陸道行成カタシ」と記される。一七九八年(寛政一〇年)の谷口青山沿岸図(市立函館図書館蔵)には「ヲフイ崎」「ヲフユザキ」とあり、「此処岩石高ク聳ヘ掛崖海岸ニ低風アルトキハ波高ク小舟ニテモ通ル事叶ワス、汐ハ張リ落ル如ク、ハマ増毛ノ方ヘ流ル、至テノ難所ナリ」とみえる。一八〇七年(文化四年)近藤重蔵らの一行が浜マシケより出船、「ヲフイ崎」を越えた辺りで逆風にあって難儀したが、船方の努力でようやく「ベツカリ崎」を過ぎ、夜にはマシケに着岸することができた(「蝦夷地御用留」近藤重蔵蝦夷地関係史料)。「協和私役」では「ヲフイの岬を廻る。断崖絶壁高き事数百丈、アイカツプよりは一層の大観なり」(安政三年七月一〇日条)と述べている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「雄冬岬」の意味・わかりやすい解説

雄冬岬
おふゆみさき

北海道中西部、日本海に臨む岬。石狩(いしかり)、留萌(るもい)両振興局管内の境界に近く、増毛(ましけ)火山群雄冬山が海に迫る断崖(だんがい)の岬で、岬上に灯台がある。付近は100~200メートルの海食崖が続き、江戸時代から西蝦夷三難所(にしえぞさんなんしょ)(西蝦夷三険岬)の一つとされていた。1855年(安政2)山肌を縫って開かれた雄冬山道が、最近までこの地方唯一の連絡路であったが、冬は陸の孤島となった。国道231号は難工事のすえ、1981年(昭和56)11月に全通し、札幌―留萌間の近道が開かれたが、集中豪雨による崖崩れで同年12月に途絶。1983年12月、復旧した。

[奈良部理]

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改訂新版 世界大百科事典 「雄冬岬」の意味・わかりやすい解説

雄冬岬 (おふゆみさき)

北海道西岸にあり,石狩湾の北縁をつくる岬。増毛山地の最高峰暑寒別岳(1492m)の西方に位置し,高さ90m前後の海食崖が続き,付近の標高235mの丘上に雄冬灯台がある。北約2kmに雄冬漁港があり,この漁業集落は留萌支庁管内増毛町と石狩市にまたがる。国道231号線が1981年に開通するまで陸路は海岸部を通じていなかったため,付近は神威(かむい)岬,茂津多岬とともに西蝦夷三険岬の一つに数えられていた。3km沖に険礁があり,海流は一般に微弱であるが,春には強い北流がある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「雄冬岬」の意味・わかりやすい解説

雄冬岬
おふゆみさき

北海道西部,増毛山地の西端にある岬。石狩市に属する。 100~200mの海食崖が形成されて,その上に灯台がある。沿海は神威岬茂津多岬とともに日本海岸を結ぶ交通の難所といわれてきたが,1981年札幌と留萌を結ぶ国道 231号線の開削工事が着工以来約 20年を経て完成した。暑寒別天売焼尻国定公園に属する景勝地。

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