農業集落を一つの単位とみなし、一定の合意のもとに農機、農業施設、農地などを共同利用しながら、集落の農業者の過半が農業生産を助け合う営農。農林水産省の集落営農実態調査では「集落を単位として、農業生産過程における一部又は全部についての共同化・統一化に関する合意の下に実施される営農」と定義している。集落営農の形態には、(1)集落で農機を共同所有し、集落ぐるみの計画に基づいて共同利用する、(2)集落内の農地全体を一つの農場とみなして営農を一括管理・運営する、(3)集落ぐるみで意欲ある農業者に農作業を委託し、農地の集積を進めている、(4)特産品や転作作物作付地の団地化など集落内の土地利用調整を行っている、などがある。集落営農は個々の農家には負担の重い農作業を、農機の共同利用や作業共同化で効率化できる利点がある。また、認定農業者、農業生産法人、オペレーター組織など意欲ある専業農業者が農業生産の担い手となることで、耕作放棄地の拡大を防ぎ、高齢者、女性、兼業農家の作業を楽にする利点もある。さらに、規模拡大の障害となっていた個々の農家の農地点在問題を解消し、農地面積集積による規模拡大効果を期待できる。
集落営農は古くから行われており、とくに近畿、北陸、中国、四国などで盛んであった。2000年(平成12)時点では全国で9961の集落営農が行われていた。その後、農家の高齢化、後継者不足、耕作放棄地の拡大などが進んだため、政府は2006年に、農業の有力な再生手段の一つとして集落営農を位置づけて組織化・法人化を促し、2015年時点で、集落営農組織を全国に2万~4万つくるという目標を掲げた。このため、2007年に米、麦、大豆、甜菜(てんさい)、でんぷん原料用馬鈴薯(ばれいしょ)の主要5品目の補助対象を4ヘクタール(北海道は10ヘクタール)以上の経営規模をもつ認定農業者とする「品目横断的経営安定対策」を導入した際には、20ヘクタール以上の集落営農についても補助対象とした。その後、集落営農は徐々に増え、2014年2月時点で全国で1万4717の集落営農が行われている。
[編集部]
(池上甲一 近畿大学農学部教授 / 2007年)
出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報
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