青海波(雅楽)(読み)せいがいは

日本大百科全書(ニッポニカ) 「青海波(雅楽)」の意味・わかりやすい解説

青海波(雅楽)
せいがいは

雅楽の曲名。「静海波」「清海波」「青海破」とも書く。唐楽で、左舞(さまい)。舞人は2人で、四人舞の『輪台(りんだい)』と続けて一組で奏される。曲名は西域の青海(せいかい)地方(中国青海省)の地名による。『輪台』と同じく伝来当時は平調(ひょうじょう)であったが、仁明(にんみょう)天皇(在位833~850)のとき、勅命により盤渉(ばんしき)調に改作される。当曲を繰り返し奏する間に、「詠(えい)」「音取(ねとり)」「唱歌(しょうが)」「吹渡(ふきわたし)」といった一連の小曲を差し挟む長大なもので、最後はふたたび『輪台』が奏され、舞人は楽人とともに行列をして退場する。実際には「詠」の詞(ことば)など、伝承が欠け不明な部分が多いため、略式で奏される。打物には「千鳥懸(ちどりがけ)」「男波(おなみ)」「女波(めなみ)」の特殊奏法がある。装束はこの舞専用の別装束で、下襲(したがさね)の波文がいわゆる「青海波文」である。舞楽であるが、正式演奏のときは「管絃(かんげん)舞楽」といい、箏(そう)、琵琶(びわ)を用いる。番舞(つがいまい)は『敷手(しきて)』。

[橋本曜子]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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