デジタル大辞泉
「食指が動く」の意味・読み・例文・類語
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しょくし【食指】 が 動(うご)く
- ( 鄭の子公がひとさしゆびの動いたのを見て、ごちそうになる前ぶれだと言ったという「春秋左伝‐宣公四年」の「子公之食指動、以示二子家一曰、他日我如レ此必嘗二異味一」の故事から ) 食欲がきざす。また、広く物事を求める心がおこる。
- [初出の実例]「廼復有下携二王奉常集者一至上。台下能無二食指不一レ動邪」(出典:徂徠集(1735‐40)二〇)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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食指が動く
何かをしたい、手に入れたいという欲望が起こることのたとえ。また、野心を抱くこと。
[使用例] 原は貧乏士族の娘で堅気であったのだが、老猾この娘を見ると食指大いに動いた訳で[尾崎紅葉*金色夜叉|1897~98]
[使用例] 仲間の一人であった林嘉雄と組んで、より知的な企業犯罪に食指を伸ばした[藤本義一*少年と拳銃|1979]
[由来] 「[春秋左氏伝]―宣公四年」に見える話から。紀元前六〇五年の中国でのこと。あるとき、鄭という国の君主の一族、子公が、君主の霊公のところに行こうとしていたら、自分の「食指(人差し指)」がぴくっと動くのを感じました。こういうときには、何かおいしいものにありつけるのが、彼にとってのジンクス。期待しながら霊公の屋敷に入っていくと、ちょうど、献上されてきたスッポンが料理され始めるところだったのでした。
[解説] ❶これだけであれば、むしろほほえましいお話ですが、実は、この話には続きがあります。子公のジンクスを聞き知った霊公は、意地悪をして、スッポンのスープを食べさせないことにします。怒った子公は、スープの入ったお鍋に指を突っ込み、なめてから出て行ってしまいました。それに腹を立てた霊公は、子公を殺してしまおうと考えます。かくしてお家騒動が勃発、結局は霊公が命を落とすことになったのでした。まったく、食いもののうらみは恐ろしいものです。❷以上のような血なまぐさい背景を持っているところから、この故事成語には、「露骨な欲望」のイメージがあります。欲望をプラスの意味で表現したい場合には、避けた方が無難でしょう。
〔異形〕食指を動かす/食指を伸ばす。
出典 故事成語を知る辞典故事成語を知る辞典について 情報
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食指が動く
しょくしがうごく
食欲がおこること、転じて物を欲しがったり、なにかをしたくなることをいう。中国、鄭(てい)の子公(公子宋(こうしそう))が霊公に会いに行く途中で、人差し指の動くのを同行した子家に見せながら、「こうなると、いつも御馳走(ごちそう)にありつけるのだ」といった。その予告どおり、2人が霊公の家に着くと、霊公は大きなスッポンを料理中だったので、2人は顔を見合わせて笑った。霊公がそのわけを問い、子家が食指の動いた顛末(てんまつ)を話したところ、霊公はわざと子公にはスッポンを食べさせなかったので、怒った子公は料理を入れた鼎(かなえ)の中に指を突っ込み、それをなめて予言を実行したと伝える、『春秋左伝』「宣公四年」の故事による。
[田所義行]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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