日本歴史地名大系 「飯塚市」の解説 飯塚市いいづかし 面積:七一・八〇平方キロ県のほぼ中央部に位置し、東は嘉穂(かほ)郡頴田(かいた)町・庄内(しようない)町、南は同郡稲築(いなつき)町・穂波(ほなみ)町・筑穂(ちくほ)町、西は糟屋(かすや)郡篠栗(ささぐり)町、北は鞍手(くらて)郡小竹(こたけ)町・宮田(みやた)町・若宮(わかみや)町に接する。昭和七年(一九三二)市制施行。市名は明星(みようじよう)寺造営時にできた「飯の塚」(めしのつか)と、神功皇后が兵士との離別のときに言ったと伝える「何日」(いつか)の言葉に由来するという。市の南東部で遠賀(おんが)川に穂波川が合流して北流する。北方には笠置(かさぎ)山(四二五・一メートル)を主峰とする笠置山地が鞍手郡との境にあり、西方は三郡(さんぐん)山地の支脈である高坪(たかつぼ)山(五一二・三メートル)と龍王(りゆうおう)山(六一五・六メートル)を主峰とする山地が発達し、その間を八木山(やきやま)高地が東西に延びる。八木山高地東麓には丘陵が続く。東方は南北に一〇〇メートル余の丘陵が連なり準平原状をなす。中央部には白旗(しらはた)山(一六三メートル)の丘陵がある。市街地は南東部の遠賀川と穂波川の合流点の沖積地付近に形成される。北と西の山地を水源とする庄司(しようし)川・建花寺(けんげいじ)川・蓮台寺(れんだいじ)川・伊岐須(いぎす)川が東流し、南部は龍王山を水源とする明星寺川が東流して穂波川に注ぐ。西の高地では八木山川が北流する。筑豊盆地型気候で昼と夜、また夏と冬の気温の較差が大きい地域であり、秋には霧の発生が多い。明治二六年(一八九三)直方(のおがた)―飯塚間に筑豊興業鉄道が開通、大正六年(一九一七)博多と飯塚間に中央自動車が運転を開始。同七年には黄バスが幸袋(こうぶくろ)から飯塚を通り長尾(ながお)(現桂川駅)に至る区間を走った。昭和八年に市街地中心部を貫通する昭和通が完成。同一八年国鉄バス新飯塚―宮田間が開通。現在は市域で国道二〇〇号と同二〇一号が交差し、当市から同二一一号が南に延びる。JR筑豊本線が南北に走り、新飯塚駅からはJR後藤寺(ごとうじ)線が分岐する交通の要衝地である。〔原始・古代〕当市域の考古遺跡については嘉穂郡を参照。市域は穂浪(ほなみ)郡と嘉麻(かま)郡にまたがる地域にあたる。「和名抄」に記載された穂浪郡薦田(こもだ)郷が菰田(こもだ)、同郡堅磐(かたしま)郷が片島(かたしま)、嘉麻郡三緒(みお)郷が上三緒・下三緒・鶴三緒(つるみお)一帯にそれぞれ比定される。市域に直接関係する史料は少ないが、年未詳ながら平安時代末から鎌倉時代初期頃のものと考えられる宇佐弥勒寺喜多院所領注進状(石清水文書/大日本古文書四―二)には、弥勒寺喜多(きた)院の所領の一所として薦田別符六〇町がみえ、菰田付近は当時宇佐宮の支配下にあったことが知られる。なお市内相田(あいだ)にある宝幢(ほうどう)寺の木造薬師如来立像(県指定文化財)は平安時代後期の特色をもつといわれている。 飯塚市いいづかし 2006年3月26日:飯塚市と嘉穂郡頴田町・庄内町・穂波町・筑穂町が合併⇒【頴田町】福岡県:嘉穂郡⇒【庄内町】福岡県:嘉穂郡⇒【穂波町】福岡県:嘉穂郡⇒【筑穂町】福岡県:嘉穂郡⇒【飯塚市】福岡県 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「飯塚市」の意味・わかりやすい解説 飯塚〔市〕いいづか 福岡県中部,嘉穂盆地の中心で,遠賀川流域にある市。 1932年市制施行。 1963年二瀬町,幸袋町,鎮西村と,2006年筑穂町,穂波町,庄内町,頴田町とそれぞれ合体。中心市街地の飯塚は江戸時代長崎街道に沿った参勤交代の宿場町,筑前六宿の一つとして繁栄。 1882年鯰田炭鉱の採掘開始以来,多くの大炭鉱が開発され,1950年頃まで筑豊炭田にある代表的都市の一つとして発展,最盛期には 110をこす炭鉱から年産 500万t以上を産出。しかし 1955年頃から始まった石炭産業合理化政策の影響を受けて,麻生鉱業,三菱鉱業などの大手炭鉱が次々に閉山し,1970年には全炭鉱が姿を消した。その後産炭地域振興事業として,電機部品,食品,衣類,タングステン,機械などの工場が進出。農業は稲作が中心。東部に鹿毛馬神籠石 (→神籠石 ) ,西部に大分廃寺塔跡 (いずれも国指定史跡) ,中部に国指定天然記念物の鎮西のカツラがある。立岩遺跡から出土した中国の前漢鏡は国の重要文化財。市街地の北西にある勝守公園からは嘉穂盆地が一望できる。一部は太宰府県立自然公園に属する。 JR筑豊本線,篠栗線,国道 200号線,201号線,211号線が通じる。面積 213.96km2(境界未定)。人口 12万6364(2020)。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by