高原川(読み)たかはらがわ

日本歴史地名大系 「高原川」の解説

高原川
たかはらがわ

乗鞍のりくら岳を源流とし,上宝かみたから村で蒲田がまた川・双六すごろく川、神岡かみおか町で跡津あとつ川などを合流し、富山県上新川かみにいかわ大沢野おおさわの町でみや川に合流して神通じんづう川となり日本海に注ぐ。「飛州志」には「高原川の濫觴は吉城郡高原郷平湯村なり、越中国婦負郡蟹寺村に至りて宮川に入る」とある。川名は高原郷に由来すると思われる。流域には日本最古の岩石である飛騨変成岩や古期花崗岩類があり、これを取巻くように飛騨外縁構造帯の結晶片岩が分布し、これらの基盤を覆って砂岩・頁岩・礫岩よりなる中生界の手取層や更新統の火山噴出物がみられる。上宝盆地には三段の段丘地形がある。これらの段丘礫層には多量の安山岩砂礫が含まれており、激しい火山活動と多量の砂礫供給が行われてきたことが想定される。源流部に第四紀以降活発な火山活動を繰返しているやけ岳や乗鞍岳などが位置し、火山放出物が周辺にまで厚く堆積している。これに集中豪雨のような異常出水が加わると、斜面崩壊や渓岸浸食のため河谷への砂礫の供給が著しく増加し、土石流となって下流へ運搬されることになる。土石流の発生頻度や規模では、高原川水系のなかでもとくに蒲田川流域で顕著である。高原川が荒川であるといわれる理由はここにある。

上流の平湯ひらゆ(毛受母川)と蒲田川沿いでは温泉の湧出が豊富で、川床からの湧出もみられる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「高原川」の意味・わかりやすい解説

高原川 (たかはらがわ)

岐阜県北東部を流れる川。宮川と合して富山県に入り,神通(じんづう)川となる。宮川との合流点までの幹川流路延長59km,流域面積782km2。乗鞍岳北方の大丹生岳(おおにゆうがだけ)(2698m)付近に源を発するが,上流部は平湯川ともいい,この川が蒲田(がまだ)川と合する高山市の旧上宝村栃尾付近からが狭義の高原川である。両岸に段丘が発達,飛驒市の旧神岡町から下流では高原峡の景勝をつくり,富山市の旧細入村猪谷(いのたに)で宮川に合流する。平湯川上流には北アルプス観光の岐阜県側の基地平湯温泉がある。支流の蒲田川は,槍ヶ岳に発する右俣(みぎまた)谷と樅沢(もみさわ)岳南斜面に発する左俣谷が合流する川で,河谷に新穂高,槍見,蒲田などの温泉が点在し,奥飛驒温泉郷と総称される。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「高原川」の意味・わかりやすい解説

高原川
たかはらがわ

岐阜県の北部を流れる川。全長約 47km。乗鞍岳北麓の平湯から流出し,西方に流れ,蒲田川,双六川,蔵柱川,跡津川などを合せて富山県境で宮川と合流して神通川となる。上流部は中部山岳国立公園に属し,温泉地の多い観光地であるが,焼岳山麓などからの土石の流出が多い荒れ川である。中流の神岡付近では模式的な河岸段丘を形成している。下流部の神通川では,神岡鉱山鉱毒による河水汚染が問題となった。

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世界大百科事典(旧版)内の高原川の言及

【神通川】より

…幹川流路延長120km,全流域面積2720km2。上流は宮川と呼ばれ,岐阜・富山県境付近の猪谷(いのたに)(富山県細入村)で最大の支流高原(たかはら)川を合わせ,下流の富山県側が神通川と呼ばれる。富山県内の流路延長は46km。…

※「高原川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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