脳血管障害や頭部外傷などによる脳損傷に起因する神経・知的機能障害。特徴的なものに、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあり、自分自身の障害自体を認識できないことも多い。そのほか失語、失行、失認なども含まれる。記憶障害は、体験したことが思い出せない、あるいはいま体験していることが記憶に残らない状態をさす。注意障害は、周囲に対して注意が散漫で集中できない、あるいは注意の持続・維持が困難な状態である。遂行機能障害は、論理的思考に基づいて計画し優先順位を決め意思決定し効率よく行動する、あるいは抽象的に思考することができなくなる状態をさす。社会的行動障害は、感情や欲求をコントロールできなくなり、わがままあるいは依存的な態度を示すようになる状態である。
高次脳機能障害の患者は日常生活や社会生活への適応が困難になっているにもかかわらず、外見からは異常がわかりにくいため、周囲や家族が誤った対応をしてしまいがちで、患者自身も周囲もストレスを募らせることが多い。加えて高次脳機能障害に対応できる施設は数少ないため、受け入れ先を探すことが困難なケースもある。
[編集部]
人が人間らしさを発揮できる
高次脳機能の中心は認知機能です。認知症では認知機能などの高次脳機能が障害されます。なかでも記憶障害(物忘れ)がいちばん目立ちますが、それ以外にもさまざまの高次脳機能が障害されます。記憶障害以外の高次脳機能障害として認知症の人でみられる症状を次に示します。
①失語:発声、聴覚は正常なのに、言葉が出てこない、理解できない。
②失行:手足は動くのに、適切な行動(挨拶・手招きなど)ができない。
③失認:感覚的には感知できるが、それが何であるかを判断できない。
④実行機能障害:
それ以外にも、判断力、問題解決、社会適応などの重要な高次脳機能もあります。ただ、記憶障害がなく失語のみを示す人もあります。したがって、高次脳機能障害のほうが、認知症よりも多くの病的な精神状態を含んでいるといえます。
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
出典 自動車保険・医療保険のソニー損保損害保険用語集について 情報
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