高次脳機能障害(読み)コウジノウキノウショウガイ

  • (脳・神経・筋の病気)
  • こうじのうきのうしょうがい〔カウジナウキノウシヤウガイ〕

デジタル大辞泉の解説

脳の損傷により生じる認知機能障害事故脳血管障害など、さまざまな原因により生じ、失語失行失認などの症状がみられる。注意障害記憶障害遂行機能障害社会的行動障害など。身体麻痺(まひ)を伴わない場合、気分障害などの精神疾患と誤認されることがある。
[補説]高次機能障害者に対する社会生活支援を推進するため、平成13年度(2001)から厚生労働省による支援モデル事業が開始され、高次脳機能障害の診断基準についても明確に示された。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

交通事故などの外傷脳血管疾患後遺症を原因として起きる。(1)約束を忘れるなどの記憶障害(2)集中力が持続せず同時に複数のことができない注意障害(3)計画をたてられない遂行機能障害(4)情緒不安定になる社会的行動障害などが主な症状。目に見える障害ではないため、周囲から理解されず、社会生活を維持しにくくなるケースもある。

(2018-10-13 朝日新聞 朝刊 茨城・1地方)

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大辞林 第三版の解説

要素的な運動や感覚の範囲を超えた言語・認知・行為・記憶などの高次脳機能が脳損傷のために障害を起こしている状態。 外見から障害がわかりにくい、本人が自覚しにくい、障害が本人の行為に現れる、という特徴から、周囲の理解や支援を得にくい

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

脳血管障害や頭部外傷などによる脳損傷に起因する神経・知的機能障害。特徴的なものに、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあり、自分自身の障害自体を認識できないことも多い。そのほか失、失行、失認なども含まれる。記憶障害は、体験したことが思い出せない、あるいはいま体験していることが記憶に残らない状態をさす。注意障害は、周囲に対して注意が散漫で集中できない、あるいは注意の持続・維持が困難な状態である。遂行機能障害は、論理的思考に基づいて計画し優先順位を決め意思決定し効率よく行動する、あるいは抽象的に思考することができなくなる状態をさす。社会的行動障害は、感情や欲求をコントロールできなくなり、わがままあるいは依存的な態度を示すようになる状態である。
 高次脳機能障害の患者は日常生活や社会生活への適応が困難になっているにもかかわらず、外見からは異常がわかりにくいため、周囲や家族が誤った対応をしてしまいがちで、患者自身も周囲もストレスを募らせることが多い。加えて高次脳機能障害に対応できる施設は数少ないため、受け入れ先を探すことが困難なケースもある。[編集部]

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六訂版 家庭医学大全科の解説

 人が人間らしさを発揮できる所以(ゆえん)が高次脳機能です。人の脳には、下等な動物にもある呼吸など生命維持に必要な部分や運動や感覚に必要な部分に加えて、物を覚えるとか判断するという高度の機能と関係した新しい部分があります。これら、人にしか存在しない部位が障害されると高次脳機能障害が起こります。

 高次脳機能の中心は認知機能です。認知症では認知機能などの高次脳機能が障害されます。なかでも記憶障害(物忘れ)がいちばん目立ちますが、それ以外にもさまざまの高次脳機能が障害されます。記憶障害以外の高次脳機能障害として認知症の人でみられる症状を次に示します。

①失語:発声、聴覚は正常なのに、言葉が出てこない、理解できない。

②失行:手足は動くのに、適切な行動(挨拶・手招きなど)ができない。

③失認:感覚的には感知できるが、それが何であるかを判断できない。

④実行機能障害:(ことわざ)の意味の説明や言葉の概念が言い表せないとか、計画の実行がうまくできない。

 それ以外にも、判断力、問題解決、社会適応などの重要な高次脳機能もあります。ただ、記憶障害がなく失語のみを示す人もあります。したがって、高次脳機能障害のほうが、認知症よりも多くの病的な精神状態を含んでいるといえます。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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