愛媛県中央部の半島。松山,今治両市,および西条市の旧東予市・旧丹原町からなる。東に燧(ひうち)灘,西には斎(いつき)灘が広がり,北側はしだいに高さを減じて来島(くるしま)海峡に至る。南側の半島の付け根には中央構造線が東西に走り,その東部に道前(どうぜん)平野,西部に松山平野(道後平野)がある。半島は円弧状の地塁で,東三方ヶ森(ひがしさんぽうがもり)(1233m),高縄山(986m)などの山がある。地質的にはおもに花コウ岩類で浸食されやすいため,重信川,立岩川,中山川,大明神川,蒼社(そうじや)川など,半島内の河川はいずれも河口付近で天井川となっている。周辺の耕地は灌漑用水が不足しがちで,山麓部には溜池が密集する。半島北端の近見(ちかみ)山,糸山などは瀬戸内海国立公園に,その他の地域も奥道後玉川県立自然公園に指定されており,道後,奥道後,鈍川(にぶかわ)の各温泉とともに観光地としても名高い。今治市の旧今治市・旧波方町の造船業のほか,旧今治市のタオル製造,今治市の旧菊間町の瓦,旧東予市・旧丹原町の和紙,松山市の伊予絣といった地場産業も発達している。
執筆者:門田 恭一郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
愛媛県中央部にあり、瀬戸内海に突き出た半島。北に来島(くるしま)海峡と今治(いまばり)平野、東に燧灘(ひうちなだ)と周桑(しゅうそう)平野、西に斎(いつき)灘と松山平野、南に石鎚(いしづち)断層線がある。中央構造線の北側内帯で中生代領家花崗(りょうけかこう)岩帯からなり、最高峰の東三方ヶ森(1233メートル)、楢原(ならばら)山(1042メートル)、明神(みょうじん)ヶ森(1217メートル)などは古い火山。高縄山(986メートル)は中世に河野氏が築城した高縄城、高縄寺の所在で知られる。これらの山地から中山(なかやま)川、大明神川、頓田(とんだ)川、蒼社(そうじゃ)川、立岩(たていわ)川、重信(しげのぶ)川、石手(いして)川などが流出し、溜池(ためいけ)、ダムなどにより周辺の都市や農地に対し用水の重要な供給源となっている。道後(どうご)、奥道後、鈍川(にぶかわ)、権現(ごんげん)などの温泉もあり、一部は奥道後玉川県立自然公園と瀬戸内海国立公園に属する。
[深石一夫]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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