実録風物語。作者不明。13世紀末の成立か。『なよ竹物語』ともいう。後嵯峨(ごさが)天皇(在位1242~46)は蹴鞠(けまり)見物のときにみかけた女に執心したが、女は「なよ竹の」と古歌を踏まえて拒絶した。あきらめきれぬ天皇は、少将の妻であるその女を、夫の了解を得て、召して寵愛(ちょうあい)した。男2人は、よき君臣というべきである。やがて中将に昇進した夫は、よき妻(め)(海草(わかめ)の意をかける)をもった鳴門中将とよばれてうらやましがられたという話。宮廷貴族文化の爛熟(らんじゅく)した時期の風俗の一端が語られている。伝本のなかには国宝の絵巻がある。また『古今著聞集(ここんちょもんじゅう)』のなかの一説話ともなっている。
[桑原博史]
『永積安明著『中世文学論』(1944・日本評論社)』
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新