日本大百科全書(ニッポニカ) 「鹿本」の意味・わかりやすい解説
鹿本
かもと
熊本県北部、鹿本郡にあった旧町名(鹿本町(まち))。現在は山鹿市(やまがし)の南東部を占める。旧鹿本町は1955年(昭和30)来民(くたみ)町と稲田、中富の2村が合併して改称。2005年(平成17)山鹿市に合併。旧町域は北東端を火山岩(新生代第四紀)、北西部を段丘礫(れき)層で、それぞれ覆われた台地、丘陵を除けば、ほとんど沖積層からなる低地。江戸時代から全国の米相場の標準米として知られた肥後城北米は、この低地からも搬出された。現在でも、米作地帯としての性格は変わらないが、昭和40年代後半からメロンやキクの産地として知られるようになった。地域の中心は、1639年(寛永16)西の湯町(現、山鹿市)と、東の隈府(わいふ)町(現、菊池市)の往来筋(現、国道325号)の要地として町立ての許された新町(山鹿新町ともいう)を継承した来民にあり、その商家の副業として、寛永(かんえい)年間(1624~1644)に丸亀(まるがめ)からの移植で始まった団扇(うちわ)づくりは特産化している。また、南西端の分田(ぶんだ)地区には、疫病退散、水難防止を願う「船流し」行事が盆行事として行われている。
[山口守人]